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武田 砂鉄・評『不道徳お母さん講座』堀越英美・著

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家族の多様性を阻む涙と感動を心底疑う

◆『不道徳お母さん講座 私たちはなぜ母性と自己犠牲に感動するのか』堀越英美・著(河出書房新社/税別1550円)

 今年から小学校で正式教科となった「道徳」。そもそも、子供たちに向けて、こういう感性を持つのがベストですよ、と決め込む行為が、何より不道徳に思えてならない。教材を覗(のぞ)くと、そこではとにかく「母親は無償の愛で子供に尽くす聖なる存在」と強調されている。母親がいない家庭はどうする、と真っ先に浮上させるべき問いかけは、どこかで聞いたような「家族愛」「絆」のストーリーに、すぐさま踏み潰されてしまう。

 良き物語だけを提供してくる教育に対し、そもそもそちらの良しあしの判断ってどうなのよ、と体系的に疑っていく。たとえば「読み聞かせ」運動の教育効果が謳(うた)われるが、「子供が欲しているからというよりも、大人の思惑によるものとみえる」。

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