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社説

サマータイム議論 「五輪のため」は短兵急だ

 日照時間の長い夏場に時計の針を進めるサマータイム(夏時間)制度導入の是非を検討するよう安倍晋三首相が自民党に指示した。

     2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策が狙いだという。

     確かに、涼しい時間を活用できれば電力を節約でき、省エネ効果が見込める。日没までの余暇時間が増えれば消費拡大が期待できる。

     しかし、制度をめぐる議論は、何度も浮上しては消えてきた。

     1993年には資源エネルギー庁長官の私的懇談会が設置され、議論を重ねた。その後、超党派の議員連盟も発足し、繰り返し法案提出を目指したが、実現できていない。

     実現に至らなかったのは難点が立ちはだかっているからだ。日常生活やビジネスへの影響の大きさだ。

     コンピューターのシステム対応や航空・鉄道ダイヤの変更という課題がある。一日の活動時間が長くなるため、労働強化につながることも懸念されている。

     これらに解決のめどが立たないまま、暑さ対策を前面に出し、前向きに進めようというのは、目的と手段がアンバランスではないか。

     夏時間制度の検討は、組織委員会の森喜朗会長の要望に応えた格好だ。マラソンや競歩など長時間、屋外で行われる競技への対策である。

     これらは早朝にスタートするが、夏時間だと、現在よりさらに早くなり、涼しい時間帯に競技が進む。

     一方、夕方以降の競技は、逆に暑さが厳しい時間帯になる。例えば夏時間で午後6時に始まる競技は、現在の午後5時開始という具合にだ。

     競技日程には、巨額の放映権料を支払っている米国メディアの意向が反映されている。夏時間を導入すれば、当初の日程とずれが生じる。米国との調整は図れるのか。

     大会運営全体を考えての提案なのか疑問が拭えない。

     夏時間制度は国民生活に大きく影響する施策だ。五輪・パラリンピックだけの問題ではない。にもかかわらず、「スポーツの祭典」を錦の御旗(みはた)に、2年足らずのうちに実行しようというのは、短兵急に過ぎないか。

     森会長は「(制度が)続けば五輪のレガシー(遺産)になる」と話している。永続的なものにと考えるなら、なおのこと慎重さが必要だ。

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