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村上陽一郎・評 『ホーキング、最後に語る 多宇宙をめぐる博士のメッセージ』=S・W・ホーキングほか著…

 ◆S・W・ホーキングほか著、松井信彦訳

 (早川書房・1296円)

ホーキング最後の論文をどう読む

 小さな本である。不思議な本でもある。通常書店に出回る一冊の書物としては、とてもページ数が足りない。そう全体でやっと九十ページほど。そのなかで、タイトルに見合う文章は、ベルギーの研究者(トマス・ハートッホ)との共著論文、そうです、物理学の専門ジャーナルに掲載された<A smooth exit from eternal inflation?>という仮説的な論文(ホーキングが発表した最後の論文ということになる)だけで、文献リストを入れなければ二十ページほどのもの。専門ジャーナルに掲載されたのだから、当然ながら、量子力学、相対性理論はもとより、ゲージ=重力、ホログラフィー、ド・ジッター時空、そして何よりインフレーション理論などによって組み立てられた、数式もふんだんに登場する、一般の読者にはとても歯の立たない性格のもの。しかし、考えてみたら、全世界で一千万部売れたという『ホーキング、宇宙を語る』(邦訳は林一訳、ハヤカワ文庫NF)の内容だって、むろん専門論文ではなかったが、結構歯ごたえがあり、それだけの数の人が「読んだ」とは、ちょっと想像しにくい。今回の出版は、難病に苦しみながら、宇宙論の分野に大きな刺激を与え続けたホーキングが、今年三月に他界した、という事実の上に立った、追悼…

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