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炎のなかへ

/228 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

 国民学校の塀は長かった。視線を伏せて疲れた足を引きずるタケシには耐えがたい時間だった。先ほどのやりとりがきこえたのだろう。好奇と憐憫(れんびん)の目で塀沿いの避難民がタケシの動きを追ってくる。君代が千寿子に近づくと、そっと声をかけた。

「千寿子さん、ほんとにありがとうね」

 普段は冷たい関係の兄嫁に礼の言葉を伝えた。千寿子は頬をゆるめていう。

「君代さんはなにもいえないんだから、わたしがいってやったんだよ。気にすることはない。日本人はあんなのばかりじゃないからね。がっかりしないでおくれよ」

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