『テレビ成長期の日本映画』刊行 新旧メディアの競争と共存 映画研究者・北浦寛之さんが歴史的検証
毎日新聞
2018/8/13 東京夕刊
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戦前から大衆文化として人気を博した映画と、戦後お茶の間に広まったテレビの関係を考察した『テレビ成長期の日本映画』(名古屋大学出版会)が刊行された。「対立する新旧の映像メディア」としがちな両者の関係を、著者で映画研究者の北浦寛之さん(37)が詳細な資料で分析した。
映画の衰退はテレビの普及と関連付けて論じられることが多い。実際、映画はテレビへの対抗策としてカラー化やワイドスクリーンを推進した。しかし、北浦さんは「もっと多様な側面を研究していく必要があると思った。実際、現代は映画とテレビが共存し、テレビ局は映画製作に積極的。両者の関係を歴史的にたどった日本映画史の本はこれまでなかった」と執筆の動機を説明する。
さらに映画研究といえば、特定の作品や監督、俳優らについて深く掘り下げる方法が主流だ。「他メディアとの交渉にフォーカスすることで、そういう思考に一石を投じたかった」
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