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ライブ

天童よしみ「VOICE」コンサート 「歌とは何か」声の限り=評・川崎浩

 まず自我を通すことが強い意思と輝く自由の証左であり正しいとされる。これがフォーク以降のJポップの精神的よりどころといえる。その世界から見ると、過去にしばられ、言われるがままに他人の作った曲を歌い続ける演歌・歌謡曲は封建世界の遺物であり、自由も主張もないその歌手は操り人形と断じられる。もちろん、このように二元的に歌謡界を決め付けることこそ、差別である。この差別は今もどこかに見え隠れする。されど時代は変わる。天童よしみの「VOICE」コンサートは力ずくででも「時代を変えてやる」という意思と覚悟と気合の入ったエポックメーキングなコンサートだった。

     「VOICE」とは、天童が6月に発表したカバーアルバムのタイトルである。アルバムには「やっぱ好きやねん」「タイガー&ドラゴン」「真夏の夜の夢」「ダンシング・オールナイト」などJポップの代表曲が収められ、さらにビゼーの「カルメン」から「ハバネラ、恋は野の鳥」も加えられた。コンサートは、アルバムの再現と「珍島物語」「道頓堀人情」など演歌を混在させて構成。バンドも手兵に加えて、そうる透、高橋ゲタ夫、伊丹雅博、大貫祐一郎、土屋玲子らそうそうたる演奏家をそろえた。

     オープニングの「タイガー&ドラゴン」から圧倒的である。美空ひばりメドレーも“ものまね臭”は一切なく、自分の声の魅力を十全に使い、「酒と泪(なみだ)と男と女」ではアコースティックギターとのデュオ、しかもブルースハープまで披露してみせる。浅草オペレッタの濃厚な薫りで別世界を作る「ハバネラ」はエンターテインメント性を極めた。しかし、天童は「ね、うまいでしょ」で終わらせない。アンコールは「大ちゃん数え唄」である。ほぼ3時間歌いっぱなしのステージは「歌とは何か」を示した、まさに自由も主張もある演歌からの歌謡革命宣言と確信できるものだった。【川崎浩】

    東京・品川ステラボールで1日

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