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香山リカのココロの万華鏡

女子歓迎できる医学界に /東京

 医学部の女子受験生差別問題が連日、大きく報道されている。問題となっている大学は私の母校なので、ニュースなどでその名を聞くたびに胸が痛む。

     私が入学したのは37年も前の話だが、同級生の2割ほどは女子学生で、みんな活発で意欲的だった。中でもまじめな女子学生のところには、試験前になると「ノート貸して」と男子学生が押しかけ、それを知った教員たちは苦笑いをしていた。

     当時、「女子学生は好ましくない」といった雰囲気はひとかけらもなく、「患者さんは男女同数なんだから、医者だって半数は女性であるべきだ」が持論の教授もいた。その後、女子学生の割合はさらに増えていると聞いていたので、「入試で差別」なんて、まさに寝耳に水。本当にガッカリしてしまった。早く全ての問題を洗い出し、対象となる受験生に謝罪や補償などを行いながら、再生に向けて出発してほしい。

     「女性医師は途中で仕事をやめる」という話もあるようだが、同級生の顔を思い浮かべると、みないまも元気に医療に携わっている。医学部教授になった女性もいれば、3人の子どもを育てながらクリニックの院長をしてきた女性もいる。女性医師のネットワークもあり、私自身、患者さんのことなどで日々、お世話になっている。

     ただ、これまで医療の世界の仕事が過酷すぎたのは確かだ。交代せずに1人で日勤と当直を連続してこなしたり、早朝や夜遅くにミーティングがあったり。女性だけではなくて男性医師にも、からだをこわしたり過労うつで治療を受けたりしている人が少なくない。これは、男性も積極的に子育てや家事を、という時代の流れにも反している。急に全てを変えることはできないが、とにかく「このままではいけない」と問題意識を共有して、女性も男性も自分や家族を大切にしながら働けるような職場を目指す必要はあるだろう。

     ただ、このように改善すべき点はあるものの、全体的には「医療の仕事っていいな」と思っている。この現場で30年以上、働いてきた私は、10代の女性たちに心から言いたい。

     看護師、薬剤師、医師など、医療の世界にはいろいろな仕事があります。どれもたいへんだけど、やりがいや手応えがあり、人間的に大きく成長できる仕事です。その経験は、子育てなど自分の人生にもきっと役立つはず。女子のみなさん、医療の世界はあなたを歓迎します。いっしょに患者さんのために頑張りましょう!(精神科医)

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