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混迷を深める世界情勢のなかで、とるべき針路は――。日本を代表する国際政治学者が交代で論じます。

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気候変動の深刻な被害 国際社会共同で行動を=政策研究大学院大学長・田中明彦

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西日本豪雨に関する非常災害対策本部の第2回会合で発言する安倍晋三首相(右)=首相官邸で2018年7月9日、川田雅浩撮影
西日本豪雨に関する非常災害対策本部の第2回会合で発言する安倍晋三首相(右)=首相官邸で2018年7月9日、川田雅浩撮影

 この夏ほど、気候変動の影響を日本人が実感した年はなかったのではないか。これまでも豪雨は頻発してきたが、台風でもないのに7月初旬の豪雨のように広範囲にわたって深刻な被害が出たことはない。また、7月中旬からの猛暑は各地で史上最高気温を記録するすさまじさであった。

 この広域豪雨と長期にわたる熱波が、人類の引き起こした気候変動の結果であると直ちに断定することは科学的には慎重になる必要があるのかもしれない。だが観測史上これまでにない現象だとすれば、産業革命以来の人為的地球温暖化の表れとみてほぼ間違いないだろう。そうだとすれば、人類が無為に今まで通りの行動を続ければ、ますます自然は人類がこれまで想定していなかったような形で災害をもたらすことになろう。

 まさにこのような認識が生まれたからこそ、1992年には気候変動枠組み条約が締結され、2015年にはパリ協定=1=が締結されたのであった。パリ協定では平均気温上昇を産業革命以前の状態から2度未満、望ましくは1・5度未満に収める対策をとるべきである旨が合意された。そのためには、温室効果ガスの排出を大幅に減少させなければならない。このような施策は通常「緩和策」と言われる。しかし緩和策のみでは、現に起こ…

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