メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

炎のなかへ

/230 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

 タケシはまだ新しい死の苦痛に身体(からだ)を震わせながら、先手をとっていった。

「父は確かにアメリカ人です。息子さんがサイパンで戦死されたのも知っています」

 絣(かすり)の防空頭巾の女がきょとんと不思議そうな顔をした。さあ、どうしよう。あと数十秒でここに爆弾が落ちてくる。すぐ逃げなければ、国民学校の塀に身を寄せた数十人の避難民が命を落とすのだ。爆弾だと叫べば、みな逃げてくれるだろうか。まさか。タケシは口に両手を当て、断固として叫んだ。

「みなさーん、ここから離れてください。昨日、憲兵さんにききました。磯村憲兵大尉です。B29の爆撃手は学校が避難場所に指定されているのを知っています。これから飛んでくるB29は学校を集中的に狙ってきます。爆弾がきます。ここからすぐに離れてください」

この記事は有料記事です。

残り640文字(全文982文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 北海道でコロナ感染増 「検査が増えたから当たり前」ではない理由

  2. ORICON NEWS 映画『鬼滅の刃』新情報解禁 「心を燃やせ」新キービジュアル&PV、キャスト公開で猗窩座役は石田彰

  3. 核禁止条約、批准50番目はホンジュラス 国連創設75周年の節目に

  4. 大阪都構想 反対が賛成上回る 9月上旬の前回調査から賛否逆転 世論調査

  5. 「優しく温厚。成人式で会えると…」 大阪・巻き添え死 女子学生の友人が涙

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです