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わたしの戦時下

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わたしの戦時下

/上 衣食住の希望 次々消えた

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「もっと可愛い服を着てみたかった」と話し、涙を浮かべる村杉美枝さん=千葉県茂原市で
「もっと可愛い服を着てみたかった」と話し、涙を浮かべる村杉美枝さん=千葉県茂原市で

 73年後の「あの日」が巡ってきた。第二次大戦下で「わたし」は何を食べ、何を思いながら過ごしてきたのだろう。平成最後の夏、願いはひとつ--あの暮らしが再び訪れませんように。

 ●強烈な空腹感

 冷えたミネラルウオーターや肉汁がしたたるハンバーグ……。数え切れない飲み物、食べ物が並ぶスーパーやコンビニエンスストアは、まぶしくて目がくらむ。華やかであればあるほど、鼻の奥がツーンとなる。あの「ぜいたくは敵だ!」というスローガンは憎かったけれど、まるで窮乏がなかったかのような今の世は、どうにも耐えられない。

 千葉県茂原市の村杉美枝さん(78)は1939年、神奈川県横須賀市田浦町で生まれた。海軍軍人の父が出征した後、母、2人の兄と小さな家で暮らした。春はツクシ、夏には桑の実を摘むような、のどかな環境だった。だが次第に空襲は激しくなり、兄たちは地方に疎開した。町内では配給の遅れや欠配が相次ぎ、日用品や食料の不足は極限に達した。空襲の恐怖や兄たちと離れた寂しさに加え、強烈な空腹感が襲ってきた。子どもはみん…

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