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張競・評 『冬将軍が来た夏』=甘耀明・著、白水紀子・訳

 (白水社・2592円)

物語を運び去っていく言葉の霊力

 この作家の言語を駆使する能力には脱帽した。語りの輝きは一つ一つの細部描写から放射され、漂流する言語の鉱脈にまだこれほどの宝物が埋もれているのかと、驚嘆するばかりである。

 主人公の「私」は幼稚園の先生をしている若い女性。ある日、勤務先の食事会で酔っ払い、園長の放蕩(ほうとう)息子は自宅に送り帰す隙(すき)をついて、彼女に性的暴行を加えた。園長先生は金に物を言わせ、示談に持ち込もうとする。そんな中、暴行事件が起きた三日前に、亡くなったはずの「私」の祖母が戻ってきた。憤慨した祖母は孫娘を連れ出し、法廷での徹底抗戦を誓う。

 祖母は五人の老女たちと一匹の老犬と集団生活をしている。その仲間たちにいきなり飛び込んだ現代っ子の「…

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