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炎のなかへ

/234 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

「北のほうへ上りましょう」

 タケシは防空壕(ごう)からまっすぐに噴きあがる炎から目を引きはがし歩き始めた。B29の飛んでいない空は大火災の黒煙だらけだが、すこしは気分がましだ。そういえばあれほどやかましかった高射砲の音がしばらく鳴っていない。登美子がしみじみといった。

「これで焼夷(しょうい)弾の直撃は、もうだいじょうぶなんだよね」

 タケシは無理して歯を見せて笑った。登美子もよっさんも、それに自分も豪雨の音とともに空から降ってくる鋼鉄の六角形パイプに直撃されたのだ。銃弾のような勢いで、登美子の腕は肘から先が千切れ飛んでいた。

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