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社説

アナン元国連総長死去 改革再始動を考える時だ

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 米同時多発テロをはさむ激動期に国連事務総長を務め、ノーベル平和賞を受けたコフィ・アナン氏が亡くなった。国連の危機が叫ばれて久しいが、改革の機運はアナン時代よりも後退している。国連機能強化の必要性に改めて目を向けるべきだ。

 ガーナ出身のアナン氏は1997年に国連職員生え抜きでは初めて事務総長に就任し、自らの経験や反省を踏まえて改革に動いた。

 国連平和維持活動(PKO)を担当していた時代にルワンダ虐殺を止められなかった経験が「人道的介入」を強める改革につながった。

 黒人初の事務総長でもあり、エイズや貧困などアフリカが直面する課題を重視した。

 2000年に採択された「国連ミレニアム宣言」にはアフリカの持続的開発のための特別な対応の必要性が盛り込まれた。

 01年のノーベル平和賞受賞はこうした実績に加え、国連の役割強化に向けたアナン氏の実行力への期待が込められたものだった。

 しかし、02年からの2期目はそれほど順調には進まなかった。03年のイラク戦争では安保理決議なしの攻撃を「国連憲章違反」と批判し、当時のブッシュ米政権と対立した。

 イラクへの人道支援のために国連が進めた「石油と食糧交換計画」をめぐる汚職問題も発覚し、親族の関与も取りざたされた。

 国連のあり方が問われる中、05年には安保理改革の検討を勧告した。日本やインドなどには期待が高まったが、米中など常任理事国は消極的で実現しなかった。

 アナン氏の死去には安倍晋三首相ら各国の指導者や国連に関わるNGOなどから弔意が寄せられている。アナン氏の評価が高まる背景には、後任の潘基文(バンキムン)事務総長時代に改革が停滞した反動もあるのだろう。

 シリア内戦やパレスチナ問題では国連の機能不全があらわになった。アナン氏は退任後も常任理事国の拒否権制限など改革の必要性を訴えてきた。

 現在のグテレス事務総長はアナン時代に国連難民高等弁務官を務め、アナン氏とも親しかった。グテレス氏には改革の再始動を期待したい。安保理改革を求めてきた日本も当然、協力に動く時だろう。

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