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精神疾患

55年間入院女性「退院してもおるところない」

閉鎖病棟の廊下を歩く入院患者ら=鹿児島市のメンタルホスピタル鹿児島で、畠山哲郎撮影

 全国の精神病床のある病院に、1700人を超える患者が半世紀以上にわたって入院している実態が明らかになった。このうちの一人、鹿児島市の病院に55年間入る女性(80)が毎日新聞の取材に応じた。統合失調症を患い25歳で入院。両親らは亡くなり、今は身寄りもない。「退院してもおるところがない」。力なくつぶやいた。

 ドアが施錠された閉鎖病棟の3階。15畳ほどの8人部屋の奥で、女性はベッドに横たわっていた。青のTシャツにカーキ色のズボン姿。窓からは光が差し込むが、外へ出られないよう金属製の囲いが設けられている。

 病院によると、女性は市内の高校を卒業後、短大に進んだが中退。その後はパチンコ店に勤めたり、放浪先で住み込みで働いたりと、職を転々としていたらしい。入院は1962年12月。北九州の門司港行きの列車に無賃乗車し、取り押さえられた。統合失調症の症状があり、この病院に入ることになった。

 午前4時に目を覚まし、一日のほとんどを横になって過ごす。歯がなく、おかゆなどを食べている。睡眠薬を服用し、午後8時には眠りにつく。「幻聴が起きるのがつらい」「頭を切り替えられた時が楽しい」。記者の問いかけに、言葉少なに答えた。

 10年以上前に、唯一の肉親だった弟が一度病院を訪ねてきたことがあったが、会話はあいさつ程度で終わったという。その弟も他界した。「外で生活したいとは思わない。病院がいい、外はいやだ」。顔をしかめた。

 女性は自らの意思で病院に入る「任意入院」。病院での生活費は障害基礎年金が充てられているという。「長期入院の患者を退院させようとしても両親が亡くなっていて、親戚も『関わりたくない』といったケースが多い。グループホームなどの受け皿は多くなく、1人暮らしさせるにも保証人がいない」。女性が入院するメンタルホスピタル鹿児島の松原康久事務長(54)は、こう明かした。【畠山哲郎】

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