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炎のなかへ

/236 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

「どうしてなんだよー」

 ミヤの頭を抱え、タケシが吠(ほ)えるように泣いていると、肩にそっと手が乗せられた。熱い目で見あげる。防空頭巾を煤(すす)で真っ黒にした登美子が泣きながら立っていた。

「テツくんもミヤくんも亡くなって、ほんとに悲しいのはわかる。でも、ここから逃げなくちゃ。もうすぐ錦糸公園だよ。わたしたちは生きなくちゃ」

 ゆっくりと泣いている時間もないのだ。登美子の背後では楽天地の映画街が燃えていた。映画の看板やのぼりがめらめらと炎をあげ、建物が崩れ落ちていく。夢中になって映画を観(み)たスクリーンも硬い椅子の観客席もラムネやお菓子の売店も、すべて燃えてしまった。

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