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インタビュー・最前線

日立造船 谷所敬会長兼社長 地球規模で課題解決 主力は環境事業

日立造船の谷所敬会長兼社長=大阪市住之江区の同社本社で、真野森作撮影

 1881(明治14)年に英国人ハンターが創業した大阪鉄工所をルーツとする総合重機メーカー「日立造船」(本社・大阪市)。国内屈指の造船会社として成長し、水の都・大阪を支える橋の数々も建設してきた。2002年に造船事業を分離し、現在の主力はごみ焼却プラントなどの環境事業だ。変身を遂げてきた同社の展望について、谷所敬会長兼社長(69)に聞いた。【聞き手・真野森作】

     --今後の目標は、何でしょう?

     ◆地球規模の課題解決に貢献する企業を目指しています。当社が持つ環境、水、社会基盤(インフラ)に関する技術やノウハウは今後も、世界各地で必要になります。人口増加が続く国では大都市に人々が集まり、生活水準の向上が不可欠です。そうした課題の解決の役に立ちたい。ごみ焼却による発電、シールドマシンを使った地下鉄用トンネルの掘削、橋や高速道路の建設。いずれも当社の事業領域です。ただ、日本仕様のプラントをそのまま売りに行っても「高価なのでいらない」と言われてしまうので、国ごとのニーズに合った製品を提供していきます。

     --世界で事業の重点を置く地域・国はどこですか。

     ◆潜在的に高い需要があると考えているのは、東南アジアと南アジアです。今まさに、各国でごみ焼却プラントの1号機を造っています。欧米を担当する子会社のイノバ(本社・スイス)は、英国やアイルランド、ポーランドなどでごみ焼却プラントの受注を目指しています。英国はごみの埋め立て比率が高く、プラントの市場が膨らんでいます。今年度、グループの受注目標は4300億円です。イノバは英国、ロシアなどで計3件・総額900億円の受注を目指します。

     --小型ドローンを使った物資輸送の実験など、新分野にも挑戦しています。

     ◆ドローンは、船つながりです。大昔の航海は星を見て船の位置を確かめていたのが、方位磁石を使うようになり、やがて人工衛星を活用する全地球測位システム(GPS)が登場しました。私たちは、造船の関係でGPSの仕事に早くから手をつけていました。近年、日本も衛星4基を飛ばし、GPSの精度を格段に向上させています。昨年、当社が筆頭で「グローバル測位サービス」(GPAS)という会社を設立し、船だけでなく農機、建機などの自動運転を支えるサービスに取り組んでいます。

     --ご自身は中東でプラントを手がけてきたとか。

     ◆30年ほど前、サウジアラビアの発電所とオマーンの海水淡水化プラントを同時に担当しました。サウジの現場は最初は周囲に何もない場所で、完成まで7~8年かかりました。当社での働きがいは、大きなプラントが出来上がったときの達成感です。現在もカタールで大きな淡水化設備を建設しており、若手を大勢送り込んでいる。大プロジェクトの面白さを感じてもらいたいと思っています。

    事業領域幅広く

     「今は日立グループの一員でもなければ、船も建造していません」。日立造船社員が冗談交じりに自社を紹介するフレーズだ。その事業領域は幅広い。環境事業を筆頭に橋や水門、水処理施設、工業用精密機械など多彩だ。洋上風力発電や水素、メタンの活用など次世代エネルギーの事業化にも着手している。

     大阪南港にある本社からの景色は象徴的だ。停泊する貨客船が祖業をイメージさせる。人工島の舞洲(まいしま)と夢洲(ゆめしま)を結ぶ夢舞大橋や、舞洲にある派手な外観のごみ焼却プラントも手がけた。大型水族館「海遊館」の水処理も担当。大阪にとっても、その発展の縁の下の力持ちの役割を果たしてきた。


    社名       日立造船株式会社

    本社所在地    大阪市住之江区南港北1の7の89

    設立       1934年

    資本金      454億4236万円

    売上高      3764億円(2018年3月期、連結)

    最終(当期)利益 21億円(同、同)

    従業員数     1万370人

    (18年3月末現在、グループ計)


     ■人物略歴

    たにしょ・たかし

     1949年、大阪府生まれ。73年に京都大大学院工学研究科修了、日立造船入社。精密機械本部長、常務などを経て、2013年に社長兼最高執行責任者(COO)。17年から現職

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