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余録

「寝ていて人を起こすことなかれ」。甲子園を最後まで沸かせた…

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 「寝ていて人を起こすことなかれ」。甲子園を最後まで沸かせた秋田県立金足(かなあし)農業高校のグラウンド脇に建つ石碑の文だ。秋田生まれの明治時代の農業指導者で「農聖」と呼ばれる石川理紀之助(りきのすけ)の言葉で同校の教育方針でもある▲石川は秋田や宮崎で貧農の救済を実践した。夜明け前に板をたたいて村人たちを起こし、共に仕事に励んだ経験から、人を動かすにはまず自分から率先垂範せよと冒頭の言葉を残した▲言葉の歴史的背景はともかく、「他人任せにせず、まず自分から」という精神は現代っ子の野球部員たちにも浸透しているのではないか。全員がのけぞって全力で校歌を歌う姿にそんな思いを抱いた。戦前から歌い継がれてきた校歌も含蓄がある。「霜しろく 土こそ凍れ 見よ草の芽に 日のめぐみ 農はこれ たぐひなき愛」。雪国の厳しさと農業の喜びがうたい上げられている▲「雑草軍団」と呼ばれる野球部が甲子園初出場を果たし、芽を出したのは1984年の春の選抜だ。その夏の甲子園でベスト4入りし、その後は甲子園出場を争う常連校になった。長靴で雪の中を走り、足腰を鍛える伝統が強さを支える▲34年前はPL学園、今回は大阪桐蔭と強豪校の高い壁に阻まれたが、秋田勢では103年ぶり、農業高校では戦後初の決勝進出はやはり快挙だろう▲野球は記憶のスポーツともいわれる。大阪桐蔭の2度目の春夏連覇という偉業と共に金足農の活躍も多くの高校野球ファンの記憶にとどまるのは間違いあるまい。

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