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星野ルネさん

「観察記録」出版 アフリカ出身姫路育ち

自身の経験をつづったコミックエッセーを手にする星野ルネさん=兵庫県姫路市内で2018年8月19日、幸長由子撮影

 カメルーン出身で兵庫・姫路育ちのタレント、星野ルネさん(34)が自身の子ども時代の経験をつづったコミックエッセー「アフリカ少年が日本で育った結果」(毎日新聞出版)を出版した。ツイッターでの連載で人気となったエッセーの書籍化。仏語圏出身で「英語より、(漢字の)四字熟語が得意」なのに「見た目」で英語で道案内され、それに星野さんも英語で応じてしまったり、主食のバナナをスープと食べるアフリカ料理弁当でクラスの注目を集めたり--。星野さんならではの日々を「ネタ」にユーモアたっぷりに描いている。【聞き手・幸長由子】

    ■文化系黒人の姿を

     姫路で働いていたバーで、生い立ちを話したらお客さんが感動してくれて、「僕の当たり前だと思っていた日常って他の人には面白いんだ」と気付いた。「もっとたくさんの人に聞いてもらうべきだ」と客に背中を押され、25歳で上京。でも、テレビで期待されるのはちょっととぼけた感じや、日本語が下手で、スポーツ万能だったりするアフリカ系のステレオタイプのイメージ。僕は、インドア派だし、ヒップホップの歌手より三国志の武将の名前の方が得意な、文化系の黒人。試行錯誤の後、ツイッターで発信して、初めて表現できた。

    ■20年超の実験結果 

    2カ月でフォロワーは3万人を超えた。同じエピソードでもいろいろな受け取り方をする人がいるのが面白い。ごく初期の作品で、小学校で絵を描いていて隣の子に「クレヨン肌色貸して」って頼んだら女の子が「茶色」を渡してくれた事を書いた。「そうか、肌色って、肌の色やったんや」っていう驚きを描いたつもりが、ツイッターのコメントでは「肌色」の呼び方が「ペールオレンジ」に変わった“配慮”が話題になっていた。

     描いたエピソードに、自分の意見はなるべく入れない。大好きな本、ファーブル昆虫記のような「観察記録」。アフリカ出身の子どもが日本で暮らした20年以上の実験結果として描いている。予想外の反応もネタにするべく「観察中」。

    ■姫路の人に感謝

     姫路の人たちに感謝の気持ちで、本の冒頭エピソードに姫路城を描いた。通った広峰保育園や行きつけの理髪店も実名で登場する。「おれ、こいつ知ってる」とか懐かしんでほしい。

     エッセーを読んでくれた姫路の幼なじみが「一緒に育ってきたけど、外国人っていうより日焼けしすぎた日本人くらいにしか思ってなかったわ。こんな事考えてたんやな」と言っていた。僕にとっては「そこまで溶け込めてたんや」と驚き。「慣れると、アフリカ系少年も特別な存在でなくなる」と、彼らを通じて学んだ。

    ■「驚かない時代」が

     「なんで日本語上手なん」とか聞かれたり、いじられるのは嫌だ、と言う子もいる。僕の兄弟にもいる。人それぞれだけど、同じように外国にルーツを持っている子にエッセーを読んでもらい、悩んでいることに「こういうとらえ方もあるんだ」って知ってもらえればいいな、と思う。

     あと、日本人にもこういう思いをしながら生きている人たちがいるんだと、本を通じて知ってほしい。日本語が流ちょうな外国人とか、多様なルーツの人が増えている。エッセーには、そのギャップに驚く人たちが多く登場する。びっくりしてもらうことが僕の役目かな、と考えている。

     1度目はびっくりするけれど、次に同じような人に会った時には、ギャップが日常になって「この人は実は、日本育ちかな」とか「これで傷つく人がいる」とか想像できる。今はその転換期。その時に僕たちがやった方が良いことが「伝える」こと。日本の人が情報に接し学んでいけば、1世代後に、日本語が流ちょうな黒人がいても、驚かない時代が来ると思う。

     ◆プロフィル

     1984年カメルーン生まれ。3歳でカメルーン人の母が日本人の父と結婚し、来日。バラエティー番組やドラマ出演のタレント活動を続けている。18年3月末、ツイッターで自身の経験を漫画でつづり始め、フォロワーは4万を超える。「アフリカ少年が日本で育った結果」は1000円(税別)。

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