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「忘却」にあらがい記録
夕暮れ時、まばゆい光に包まれた東京・中野の商店街を歩いていたフォトジャーナリスト、安田菜津紀さん(31)の目に憂いの色が浮かんだ。月に1度は赴くという東北から帰ったばかり。「東京の街ってあまりにも明るくて何だか違和感を覚えてしまいます。東日本大震災後、東京も暗かったでしょう。それなのにすっかり震災前に戻ったかのようで……」
2011年3月11日、巨大地震と巨大津波が東北地方などを襲った。日本中の人たちが被災者たちの苦境に我が身を重ね、東京電力福島第1原発事故におびえた。だが、7年5カ月という時間が過ぎ、東京には「平時」の空気が覆う。今も被災地には仮設住宅が並び、避難生活を送る人が約6万人いるというのに。「忘却」にあらがうかのように、安田さんは刻々と変わりゆく被災地を記録し続けている。
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