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夏休み明けは特に注意

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いじめがエスカレート

 夏休み明け前後、子どもの様子には特に気をつけてほしいと思います。いじめられている子たちが追い詰められていることはないか、注意してほしいのです。現在、2学期の始業式を9月1日ではなく、1週間から10日早めている学校は少なくありません。

 夏休みの間に何かの事情が変わって、いじめられなくなるのではないかと淡い期待を抱いた被害者が、新学期になって、再びいじめを受けたり、エスカレートしたいじめを受けたりしたことで、絶望に陥り、命を絶つことまで考えてしまうケースもあります。

 私は教職員向けの研修では、いじめの被害者だけでなく、問題行動を起こす生徒やグループの様子に気を付けてくださいと話します。過去に起きたいじめ事件で、夏休み明けごろから、毎日のように暴行を加える、金をせびるなどいじめがエスカレートしていることが多いからです。

 1学期にいじめるターゲットを定め、相手の様子を見ながら行っていた行為が、被害者が反撃をしない、被害者が親や教師にも相談しない、同級生や教師も何も言わないことなどを知って、行為が認められたと勘違いしてタガが外れます。

 夏休みに学校外の非行グループなどと関わりを持つようになり、急激に非行傾向を強める生徒もいます。自由な時間が増えるなか、恐喝した金で派手に遊ぶ快感が忘れられなくなった子どもたちもいます。また、中学3年生、高校3年生で、周囲の友達は将来に向かって進んでいるなか、人生の目標を見いだせず、優等生をターゲットにしていじめて、精神的に追い込むケースもあります。こうした加害行為をする生徒の内面は、服装や態度にも表れやすいので、急に髪を染めたり、服装が乱れたり、態度が大きくなって周囲を脅すような雰囲気を見せ始めた子どもがいたら、早急に家庭と連絡をとって、学校や家庭での変化を確認し、理由を探り、今後、どのような方針、方向性で指導していくのかを十分に話し合ってください。

加害者の「変化」気付いて

 周囲の人は、いじめがあることに気付いていなかったり、意識していなかったりすることがあります。被害者は隠そうとしていますし、いじめが当たり前の風景になりすぎているためです。しかし、周囲の人も、非行グループの存在には気が付いていることが多くあります。たとえば、周囲の子どもたちは、自分が何かをされたわけでなくても、なんとなく「怖い」と感じています。教師も、反抗的な態度や暴力的な行動について認識はしています。

 こうしたことから、教職員研修などで私はこう話しています。「被害者はいないか、と漠然と見ていても見えてきません。しかし、問題を起こす生徒や非行グループの周囲を注意深く観察すれば、そこに被害にあっている子どもがいることが見えてきます」「被害者が複数いることも珍しくありません」

 いじめは、被害者の問題ではなく、加害者の抱える問題であり、心のSOSです。子どもの変化に気付き、加害行為を止めることは、加害者のためにも、被害者のためにも、必要なことです。

 自分の子どもがストレスをためていないか、その発散方法に問題はないか、親もまた十分に気を付けてください。<文・武田さち子>


 ■人物略歴

たけだ・さちこ

 教育評論家。1958年東京生まれ。いじめホットラインにかかわったことがきっかけで、学校問題に取り組む。ホームページ「日本の子どもたち」を主宰。著書に「あなたは子どもの心と命を守れますか!」など。夫と娘1人。趣味は神社仏閣を巡る旅。

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