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読者からの便りを手に「懐かしの味」を探し求める旅を始めて13回目の夏が過ぎる。出合ったのは時代が薫るマクワウリや印度リンゴ、サツマイモの太白や花魁(おいらん)、縁日に並んだニッキ水--など157の品々。なおリクエストの便りが届く昔のブドウ「キャンベル」の今を紹介する。
粉のふいた黒紫のブドウ。果皮と半透明の実の間に酸っぱさと甘さの混ざった独特の味と香りがあり、昭和の時代を代表するブドウだった。そんなキャンベルも東京や大阪周辺の店頭で見かけることは、まずないと言っていい。店員に聞いても「どんなブドウですか」と逆に聞かれるほどの遠い、遠い存在のブドウになっているのだ。
だが、消えてしまったわけではない。北海道や東北地方のブドウ産地では寒さに強い品種とあって今も主要品種の一つ。東北6県だけで全国栽培面積の約半分、約260ヘクタール(2015年農林水産省特産果樹生産動態等調査)を作付けしている。
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