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橋爪大三郎・評 『新約聖書 本文の訳』=田川建三・著

 (作品社・4320円)

 田川建三氏の聖書研究は、正統すぎて日本では異端視されるが、断然優れている。本書は『新約聖書 訳と註』(全七巻八冊)の本文の訳を一冊にした普及版。キリスト者なら、新共同訳と共に手元に置くべき一冊だ。

 《新約聖書と呼ばれてきた書物は、本当はもちろん「聖書」ではない。…人間が書いた文章が「聖書」、…崇高で超越的な神の言葉なんぞであるわけがない》(はしがき)。ふつうの信者は腰を抜かすかもしれない。だが、よく考えるとその通り。二一世紀の聖書学とはこういうものである。そして、社会科学の考え方にも合致している。

 田川氏は新約聖書の、ギリシャ語にこだわる。後世の加筆はもちろん、初期教会の信仰が膨らませた記述もそぎ落とし、ナザレのイエスの、人間としてのあるがままを見据える。イエスを「神の子」に祀(まつ)りあげるのは偶像崇拝ではないか。こう考える田川氏の聖書の本文解釈は、徹底して科学的である。

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