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詩歌の森へ

俵万智の『牧水の恋』=酒井佐忠

 <白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ>。よく知られた若山牧水の初期代表歌。牧水といえば酒を愛し旅に暮れた放浪の歌人として知られている。だが、それにもまして熱情的な「恋の歌人」だった。その恋は哀しみと苦しみを生み、そのことによって名歌が誕生する。俵万智の新著『牧水の恋』(文芸春秋)は、「恋」に焦点をしぼった評伝。歌人ならではの目で新たな牧水の魅力が浮き彫りになる。

 やはり代表歌の、<けふもまたこころの鉦(かね)をうち鳴らしうち鳴らしつつあくがれて行く>や<幾山河越え去り行かば寂しさの果てなむ国ぞ今日も旅ゆく>(雑誌初出)の歌もそうだ。恋い焦がれた小枝子という女性と二人での「武蔵野彷徨」が実現し、その帰途で作られている。二首とも奥深い人生観照の歌として愛誦されているが、実は歌の発端は小枝子への「恋心」だったと俵はいう。「個に徹してこそ普遍性は生まれる」との言…

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