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余録

「長時間にわたって粉骨砕身の仕事を…

 「長時間にわたって粉骨砕身(ふんこつさいしん)の仕事をしなければならぬ立場におかれた人には、これを勧める」。第二次世界大戦で英国を勝利に導いたチャーチルの言葉だが、彼が推奨する「これ」とは何だろうか▲それは午後早くの昼寝だった。対独開戦で第一次大戦以来久々に海相に復帰した彼は、前の海相当時の昼寝の習慣も復活させた。おかげで「日々の仕事の能率を非常に高め」「1日半の仕事を1日に縮めることができた」というのだ▲この習慣は戦争中ずっと続く。さすがに戦時下の宰(さい)相(しょう)が毎日子どものように昼寝をさせてもらうのは心苦しかったという。だが「わずか20分でも、すべての精力を一新するのに十分」なこの日課は何ものにも代えがたかったのである▲そんなチャーチルならば仮眠を「パワーナップ」と呼ぶ今日の風潮も別に驚きはしないだろう。今や勤務時間内の昼寝はグーグルなどの米企業で推奨されている。日本でもIT業界を中心に昼寝を取り入れる企業が増えているという▲しばしば仕事が未明に及んだチャーチルの昼寝タイムは1時間だったが、厚生労働省が以前策定した睡眠指針では作業効率改善のための昼寝は30分以内がいいとされていた。「働き方改革」も職場の昼寝推奨の追い風になったようだ▲チャーチルに昼寝を勧められた某提督は閣議でも居眠りするようになる。だが話が海軍に及ぶと、寝ていたはずがたちまちてきぱきと応答した。昼寝ご法度(はっと)の日本の職場でもこの手の居眠りの達人ならばよく見かける。

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