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白河 桃子・評『彼女は頭が悪いから』『女性の視点で見直す人材育成』

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日本の構造に根深くからむワナに足を取られないためにできること

◆『彼女は頭が悪いから』姫野カオルコ・著(文藝春秋/税別1750円)

◆『女性の視点で見直す人材育成-だれもが働きやすい「最高の職場」をつくる』中原淳、トーマツ イノベーション/著(ダイヤモンド社/税別2000円)

 これは大変な小説だ。東大生サークルによる集団わいせつ事件をモデルにした『彼女は頭が悪いから』。慶應女子高がモデルという桐野夏生の『グロテスク』以来の衝撃的作品だ。この事件当時、被害者は「東大生狙いの勘違い女」と叩(たた)かれた。

 加害者である東大生の罪は明白だ。この小説は、女を物として効率的に消費し、自分の利益にするという物語でもある。彼らは性欲すらなかった。あったのはただ、「東大ではない人間を馬鹿にしたい欲」だった。彼女は彼らよりも偏差値が低く、女性であるということで、二重に下位と判断された。世間もその価値観を内在化し「東大生の将来を台無しにした勘違い女」と辱めたのだ。いびつなエリートをつくる性教育、ジェンダー教育の不…

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