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余録

「バカヤロー、員数をつけてこい」。旧陸軍で何か物を紛失して…

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 「バカヤロー、員数(いんずう)をつけてこい」。旧陸軍で何か物を紛失して、上官にこう怒鳴られたら、どこか別の隊から盗んで埋め合わせろということだった。「員数」とは隊に配備された物品の帳簿上の数である▲山本七平(やまもと・しちへい)の「一下級将校の見た帝国陸軍」によれば、戦後の捕虜収容所で誰もが日本軍の最大の敗因だと口にしたのが「員数主義」だった。つまりことの実質はどうでもいい、員数だけ書面通りならそれでいいという形式主義である▲使いものにならぬ兵器も、装備を失った兵隊も、数だけそろえて報告すれば戦力とみなされた。こんな旧軍の病理を指摘した先の本が出たのは1976年だが、同じ年に始まった制度でも日本の役所の員数主義が今日まで続いていた▲中央省庁が障害者手帳を持たない人を障害者雇用率に算入し、法定雇用率達成を装っていた不正である。該当者は3460人で、障害者に数えられていた人の半数にあたる。つまりそれだけの数の障害者が就労機会を失っていたのだ▲もともと障害者の就労を広げ、自立を支援する法定雇用率である。それが実質とは無縁どころか障害者の雇用を妨げる役所の「員数合わせ」に堕していた。小紙の取材では、近視の職員や、死亡した職員まで算入したケースもあった▲雇用率未達成だと納付金を課せられる民間企業のあきれ顔が浮かぶが、今や多彩な働き手、働き方こそが成長の条件だと意欲的取り組みをみせる企業も多い。むしろ心配は時代を読めぬ中央省庁の帝国陸軍化だ。

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