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児童虐待が13万件超える 救出と共にケアの拡充も

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 2017年度に児童相談所が対応した虐待は13万3778件(速報値)で、過去最多を更新した。統計を始めた1990年度から27年連続の増加だ。

 政府は緊急対策として、児童相談所で働く児童福祉司を22年度までに約2000人増員し、子どもの安全が確認できない場合には強制的な立ち入り調査をルール化することなどを打ち出している。

 虐待防止や救出に努めるのは当然だ。同時に子どものケアや安心できる環境の確保も急ぐべきである。

 厚生労働省の別の調査では、虐待で病院に1カ月以上入院した子どものうち、治療が終わっても退院できなかった子が年間63人に上ったという。受け入れ施設に空きがないことが主な理由だ。治療後も1年以上病院内にとどまっていた子もいる。

 親との接触を避けるため、病院から出られないケースも多く、子どもの発育にマイナスの影響を与えることが指摘されている。

 一方、児童養護施設は集団生活によるストレスもあって子ども同士の暴力や性的虐待が各地で起きている。虐待された子が保護された施設でさらに傷つけられる、という事態は早急に改善すべきである。

 厚労省は施設よりも家庭的な環境の中で傷ついた子どもの養育を進める方針を掲げている。里親の登録者数も増えている。そうした流れは評価したい。だが、子どもが被虐待のトラウマから暴力や暴言をすることがあり、里親が育てきれなくなって施設に戻る子も少なくない。

 本来は委託する側の児童相談所に里親や養親を支援する責務があるが、人手不足で十分な活動ができていないのが実情だ。せっかく里親や養親となってもうまくいかず、児童相談所はますます委託するのに慎重になるという悪循環を生んでいる。

 17年度の虐待対応の中では、配偶者への暴力で子どもがストレスを受ける「面前DV」などの心理的虐待が全体の54%を占めた。子どもの心に深い傷を残し、さまざまな問題行動を引き起こす原因とされる。

 児童相談所と養護施設や里親が連携し、傷ついた子を手厚くケアできる居場所を拡充していかねばならない。専門職の増員も含め、政府による一層の支援が必要だ。

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