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富士山噴火、対策見直しへ

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地区防災計画を作成するための地域住民のワークショップでアドバイスをする山梨大の鈴木猛康教授(右)=山梨県富士河口湖町で7月18日

 富士山の噴火に備えたハザードマップの改定作業が今年度から始まっている。これまで知られていなかった富士山噴火の痕跡が近年、次々と見つかっており、国や山梨、静岡、神奈川3県などは2020年度中にも中身を更新する予定だ。マップには、最新の研究に基づいた富士山の火山現象の予測が記される予定で、地元自治体が講じている現在の噴火防災対策は、大幅な見直しが必要になる可能性がある。

 ●新たな火口を特定

 「新しい事実が判明している。改定によって影響を受けるであろう避難計画についても、学術的にどこまで助言ができるか、関係機関を交えながら議論を進めていきたい」

 静岡県沼津市で7月末に開催された富士山ハザードマップ改定版検討委員会の初会合。委員長に選ばれた山梨県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長は、最新の調査結果を盛り込んだマップ改定の重要性をこう説いた。

 山梨県によると、現行のマップは地形を200メートル四方に区切って表示しているが、改定版ではより細かな20メートル四方に変更する。噴火事例の対象年代も3200年前から5600年前までさかのぼる方向で作業が進んでいるという。

 現マップは、富士山直下で00~01年に低周波地震が多発したことを受け、04年に策定された。想定される火口範囲、地表に噴出した溶岩流や火砕流、噴石がどこまで広がるか、などについて記載されている。マップに基づき、県をまたぐ広域避難計画が策定され、噴火を想定した避難訓練が実施されてきた。

 しかし、策定後の調査研究で、これまで知られていなかった富士山噴火の新事実が相次いで確認された。山梨県富士山科学研究所は16年、約1500年前に噴火したとされる「雁(がん)ノ穴火口」の正確な位置を特定。現マップでは火口ができるエリアとして想定されていない場所で、同県富士吉田市の市街地からわずか約1・5キロの距離だった。平安時代に起きた富士山最大規模の貞観(じょうがん)噴火(864~66年)では、現マップの想定より倍近い溶岩流が噴出した可能性があることも別のボーリング調査で判明した。溶岩流や火砕流が流れるシミュレーション精度も向上しており、マップの改定が決まった。

 ●住民自ら計画策定

 改定作業は火山学者や国、3県が主体となって進めている。このうち山梨県では、地域住民が「地区防災計画」を自分たちの手で作る試みが始まっており、県内4地区が今年度、モデル地区に選ばれた。

 その一つ、富士河口湖町の河口地区は、富士山の北約17キロにある河口湖北岸にあり、約2300人が暮らしている。富士山の噴火規模によっては、避難地域にも、避難者を受け入れる地域にもなる。富士山周辺の住民が甲府市に避難する経路となる国道137号も抱えている。

 7月にあったワークショップの初会合には地区住民約60人が参加。「過去の災害を伝え切れていない」「富士山噴火は未経験」「空き家が多く、1人暮らしのお年寄りが多い」「山が近く、川の増水も怖い」--と、地域の防災上の弱みなどについて議論を交わした。ワークショップ開催前には西日本豪雨が発生、大きな被害がもたらされたこともあり、豪雨災害を懸念する声が多く出たが、富士山の噴火を不安視する声も少なくなかった。

 作業を支援している山梨大学地域防災・マネジメント研究センター長の鈴木猛康教授は「過去に大規模な土石流被害を経験している地域でもあり、活発な意見が出ている」と住民の防災意識を評価する。計画は豪雨災害を想定し、住民の安否確認の方法や避難経路、事前避難の基準などについて盛り込む予定だが「噴火や地震にも対応できる」とみている。【野呂賢治】

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