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毎日フォーラム・ファイル

カワウ 23年度までに半減目指し対策強化

羽を大きく広げて乾かすカワウ=大津市内で2016年12月(本文とは関係 ありません)

ドローンで追い払い、巣にドライアイス投下

 アユやマスなどの魚を大量に食べるカワウの被害が問題になっている。一時は絶滅が危惧されたが1990年代から増え始め、漁業被害額は100億円を超える年もあったとの推計がある。水産庁と環境省は「被害を与えるカワウを23年度までに半減」するとの目標達成に向け、自治体や漁業団体とともに対策を強めている。ドローンを使った追い払いや、巣にドライアイス投下し卵を冷やして繁殖を防ぐなど、新手の手法を駆使している。

     水産庁などによると、カワウは1回に10メートル以上潜水する能力があり、水中で素早く魚を捕り、1日で1羽当たり約500グラムの魚などを食べる。1回に3~4個の卵を産み繁殖力も強く、繁殖期にはヒナにも餌を与えることから1~2キロを捕食するともいわれ、行動範囲も広い。集団で行動し、夜はコロニーと呼ばれる集団で繁殖場所である巣か、休息用の「ねぐら」で過ごすという。

     高度経済成長期に河川改修や農薬でエサとなる魚が減ったことなどから激減し、70年代には全国で約3000羽と絶滅が危惧されるほどに減った。しかし、その後、コロニーの保護や水質改善などにより増加に転じ90年以降急増した。直近の生息数の全国集計はないが、全国内水面漁業協同組合連合会(全内漁連)は2012年には全国に約12万羽いたと推定している。

     カワウの増加とともに川や湖の魚の被害が増え、02年には26億円だった被害が08年には103億円にのぼったと同会は試算している。また、大量の糞であたり一面真っ白になって樹木が枯死するという被害も起きていた。

     2000年代に入って自治体や漁協、関係機関の多くが本格的な被害対策に乗り出し、06年からは駆除事業を始めた。環境省は07年にカワウを鳥獣保護法の狩猟鳥獣に指定し、特別許可がなくても狩猟期にはハンターが捕獲出来るようにした。また、13年11月に保護管理計画作成のためのガイドラインと保護管理の手引を作成し、被害に応じた保護管理手法の考え方や対策の進め方に方策や対策の成功事例を詳しく紹介した。

     さらに14年4月には水産庁と環境省で、被害を与えるカワウの数を23年度までに半減するという目標を設定した。ただ、全国の生息数や被害実態の詳細はわかっておらず、目標達成には(1)状況把握(2)協議の場づくり(3)計画づくりが必要--とした。17年度末現在で滋賀や岐阜、群馬など8県が「被害を与えるカワウの数」を設定して、半減に取り組んでいる。

     また、水産庁は15年から「健全な内水面生態系復元等推進事業」を始め、生息数や漁場への飛来数調査、銃器などによる駆除・捕獲、ロケット花火など大きな音による追い払い、ドライアイスの投入や本物の卵を偽の卵との置き換え、樹木にカワウが嫌がる音を出すテープ張りなどによる繁殖抑制の取り組みに補助を行ってきた。18年度はこの事業に2億5300万円の予算を計上している。

     このほか漁場や放流場、魚が多く集まるところなどに重点的にテグスやネットを張って魚が食べられるのを防いだり、カカシや鳥が嫌がる目玉マークで追い払うなどの対策も行っている。

     ただ、銃を使える場所は限られていることや、発砲やロケット花火の大きな音で脅すと、カワウが散って、他所にコロニーやねぐらが移り生息の把握が難しくなるという問題点も出ている。またテープ張りやドライアイス、擬卵投入はダムサイドや高い木が生い茂る森林などでは困難で、この地域でカワウが増加する傾向も見られるという。

     水産庁は、より戦略的で効果的な対策が必要だとし、ドローンを使った対策を採用し、17年度から新たな事業として始めた。これまで人が直接見に行くことが難しかった場所での調査のほか、カワウの動きに合わせて飛び、スピーカーをぶら下げて銃の音や大きな音を出して追い払ったり、巣の中へのドライアイスや擬卵の投入、高い木へのテープ張りなどに役立てる。高い所にはしごをかけて昇らなくても済むなど安全で負担軽減にもつながる。すでに栃木県や群馬県など19県の内水面漁協が実施している。

     今年3月には、使い方の注意や飛ばすための航空法上の手続き、保険加入など基礎的な事項を記したパンフレットを作製、今年度はテープ張りやドライアイスなどの投入マニュアルのパンフレットを作り、導入を勧めることにしている。

     自治体の対策では滋賀県の取り組みが注目される。竹生島や近江八幡市の伊崎半島の2大コロニーでの繁殖が目立ち、92年から目玉風船などでの追い払いやロープ張り、せっけん液の散布などを行った。しかし大きな効果は上がらず、営巣のために木の枝を折られたり、大量の糞で樹木が枯死するケースが目立った。

     このため07年度に県カワウ総合対策計画をスタートさせ、09年度からカワウの生態に精通したプロフェッショナルによる捕獲体制を取った。発砲音が小さく、射撃後もカワウが散らないなどの利点があるエアライフルでの捕獲がメインで、10年度から急激な減少傾向を示し、12年度には1万羽を下回り、ピーク時の08年の約4万羽の4分の1以下になった。

     同県はその後「特定鳥獣保護管理計画」を策定、今年度からの第3次計画で生息数をカワウの被害が気にならなかった時代の約4000羽まで減らすことを目標にして取り組んでいる。

     富士五湖や富士川などがあり内水面漁業が盛んな山梨県は17年3月に第3期の管理指針を策定し、対策に力を入れている。同県では05年のピーク時には約1000羽が確認されていたが、現在は400羽程度になっているという。03年に食害防止総合対策事業として本格的に取り組み、かかしや漁場巡回などで追い払いをするとともに銃器での駆除などを行ってきた。最近は県内最大の下曽根コロニー1カ所だけに封じ込めて、他のエリアで新たなねぐらやコロニーが見つかった場合にはすぐにテープ張りなどで徹底した対策を行う作戦をとっている。

     対策が奏功しピーク時の07年には約1300万円あったアユなどの漁業被害は15年には550万円に減った。だが、放流アユが食べられる割合は7.9%で、目標の5%以内には達せず、銃器や釣り針による捕獲やドライアイスによる繁殖抑制などの対策を今後も続けていくという。

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