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的川博士の銀河教室

513 民間宇宙船搭乗「ライト・ナイン」を発表 宇宙活動に新しい時代

 さる8月10日、米南部・テキサス州ヒューストンの米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターで、NASAのブライデンスタイン長官は、もうじき打ち上げられる民間宇宙船に搭乗(とうじょう)する候補である9人の宇宙飛行士を発表し紹介(しょうかい)しました(写真)。

     2011年に米国のスペースシャトルが引退して以降、国際宇宙ステーション(ISS)へ向かう宇宙飛行士の移動手段は、ロシアの宇宙船「ソユーズ」だけに限られています。米国政府は、今後は地球周辺への飛行はもっぱら民間で開発された宇宙船に任せ、政府機関であるNASAは、月・火星への有人飛行などリスクの高いミッションに集中する戦略を発表。そしてその呼びかけに応え、政府の審査(しんさ)にも合格した二つの会社--スペースX社とボーイング社--が開発している有人宇宙船が間もなくデビューします。

     まずスペースX社の有人宇宙船「クルー・ドラゴン」(図1)は、今年11月の無人試験飛行を経て、来年4月には飛行士を乗せて初めての有人試験飛行をする予定。打ち上げるのは同社のファルコン9ロケット。また、ボーイング社の有人宇宙船「スターライナー」(図2)は、来年初めに無人試験飛行を行った後、来年半ばに有人試験飛行。アトラス5ロケットで打ち上げます。

     なお両機とも、有人試験飛行に成功した後は次のミッションでISSへの商用有人宇宙船の飛行を実施(じっし)します。今回の発表は、これらの宇宙船に搭乗する飛行士たち9人が「ライト・ナイン」(任務にピッタリの9人)として紹介されたのです。NASAではその後のミッションに参加する飛行士たちも引き続き発表するとしています。

     すでにスペースX社などは、国際宇宙ステーションへの物資の輸送を無人機ながら担ってきていますが、有人飛行では求められる安全性への要求が格段に高まります。米国のベンチャー企業(きぎょう)「ブルー・オリジン社」や「ヴァージン・ギャラクティック社」も、将来の有人飛行につながる技術開発を急いでおり、日本やヨーロッパでも、民間の力でロケットを打ち上げる努力が始まっているだけでなく、有人宇宙飛行をめざす企業を設立したというニュースも報じられています。

     民間が中心になって人間を宇宙へ運びたいと思う人々は、世界中で増え続けているのです。このたびの9人の宇宙飛行士の発表は、宇宙活動に新しい時代が近づいてきていることを、ひしひしと感じさせるものでした。


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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