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余録

「日本人はこの日をつねに不安とともに待つ…

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 「日本人はこの日をつねに不安とともに待つ。この日は稲の収穫の良し悪(あ)しを決定づける日であり、しかも大きな台風が通過するときと一致するからだ」。仏詩人クローデルの「二百十日」の説明である▲外交官でもあり駐日大使をつとめた彼は、9月1日に起きた関東大震災の体験記でちょうどこのころが二百十日と呼ばれることに触れている。実は震災のあった1923年の二百十日は翌2日だったが、台風は1日にやってきていた▲東京と横浜での彼の震災体験記はおりからの台風の強風によって火災が広がったさまを記している。この時、日本海側を北上した台風の通過に伴い、関東は風向きが南から北へと変わり、広い範囲の市街地が焼けて犠牲者を増やした▲関東大震災から95年になる「防災の日」は猛烈な台風21号が列島をうかがう二百十日となった。大阪北部の直下型地震、広域西日本豪雨、災害級の酷暑、8月には24年ぶりに多発した台風……ただならぬ夏をくぐり抜けた9月である▲「大津波、台風、火山の噴火、地震、大洪水などたえず何か大災害にさらされた日本は、地球上の他のどの地域より危険な国であり、つねに警戒を怠ることのできない国である」。これもクローデルが先の体験記に書いた一節である▲台風と梅雨前線による広域豪雨の被災地を酷暑が苦しめ、荒っぽくなる気象災害が重なり合う今日だ。震災の歴史と二百十日とが交差する防災の日、考えうる最悪の災害への備えに思いをめぐらす機会でもある。

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