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人気参考書の著者、更生支え(その2止) 少年に「生きる力」を

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「間違えても大丈夫。なぜ間違えたのかを自分の頭で考えて下さい」。授業中、問題につまづいた少年たちに歩み寄り、疑問に答える=新潟県長岡市の新潟少年学院で2018年6月25日、渡部直樹撮影
「間違えても大丈夫。なぜ間違えたのかを自分の頭で考えて下さい」。授業中、問題につまづいた少年たちに歩み寄り、疑問に答える=新潟県長岡市の新潟少年学院で2018年6月25日、渡部直樹撮影

 

 ◆数学教育、自費出版からスタート

受験での挫折、原点

 数学の答案用紙は×より〇を数える方が早かった。偏差値38。数学教育者を名乗る今では信じがたいが、高橋一雄さん(57)=さいたま市在住=の高校3年2学期のテスト結果だ。

 持病のぜんそくのため小中学校を半分近く欠席し、登校すればいじめられた。勉強も落ちこぼれ、中でも数学は大の苦手だった。ぜんそくに苦しんだ経験から、高校では「治す側になりたい」と医学部を志した。必須科目の数学とも向き合ったが、受験に失敗。浪人生になり、参考書を読んでいてふと気づいた。基本が全く理解できていなかったのだ。

 「やっぱり俺はばかなのかな」。来年も落ちると思うと、情けなくて泣けてきた。翌年も不合格。2浪が決まり、決意した。「自分が分かるところまでレベルを下げて、そこからやり直そう」。その結果、算数の分数計算までさかのぼることになった。「小数のかけ算はなぜ位を合わせなくていいのか」「分数計算はなぜ通分するのか」。自分の言葉で説明できるようになるまで考える癖ができた。

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