メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

磯田道史・評 『文字と組織の世界史 新しい「比較文明史」のスケッチ』=鈴木董・著

 (山川出版社・2160円)

「文字」と「組織」で探る壮大な文明史

 たった一冊で全世界の人類史を語る本など、そうそう書けるものではない。古くはトインビーがそれをやった。文明史である。近年では、ハンチントンが「宗教」、トッドが「家族」、梅棹忠夫が「生態」を切り口に、人類を幾つかの「文明」にわけて人類史を語った。しばらく、そんな壮大な文明史を書く学者は日本に現われまいと思っていたが、本書が出た。著者はオスマン帝国の研究の鈴木董(ただし)氏。かつて私はこの人に会って驚いた。元来、法学部の出身で中東史が専門。ところが日本近世の武士の職制にも詳しかった。オスマン帝国を説明するにも「これは日本の児小姓(こごしょう)に近い」などと説明された。インド史、ヨーロッパ史、インカ史、何を尋ねても適切な答えがかえってきた。この国の文学部の歴史学は、国史・東洋史・西洋史に分断され、スケールの大きな歴史家は育ちにくい。本書は例外的な本だ。

 本書が人類を文明に切り分けるメスは2本ある。文字と組織だ。人類の文字は、発生・伝播(でんぱ)でいえ…

この記事は有料記事です。

残り1016文字(全文1476文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 目黒虐待死 懲役18年求刑された父、涙で「本当に本当にごめんなさい」

  2. 「声をかける暇もなかった」遺体発見 なぜ…悔やむ生存者 福島・本宮

  3. セクシーの意味は「魅力的」と政府答弁書 直近5年で閣僚発言なし 小泉氏発言

  4. 「幸楽苑」150店舗を当面休業 台風19号が福島・郡山の工場に影響

  5. 路上生活者の避難拒否 自治体の意識の差が浮き彫りに 専門家「究極の差別だ」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです