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社説

解消されぬ無戸籍問題 民法改正の議論を早急に

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 親の都合で出生届が出されなかったのが原因で無戸籍となり、不便を強いられる。そんな理不尽な状況が、解消に向かうのか。法務省は有識者による研究会を近く設け、民法見直しの検討に着手する。

     民法は、結婚中に妻が妊娠した子は夫の子とする「嫡出推定」を定めている。離婚後も300日以内に生まれた子は戸籍上、元夫の子と記載される。この推定を覆す「嫡出否認」の訴えは、夫だけが提起できる。

     このため、別居中に別の男性との間に子をもうけても、夫の協力がなければ、その男性の子として出生届を出せず、無戸籍になってしまう。妻が夫の暴力から逃れているような場合は深刻だ。

     法務省が把握している715人の無戸籍者のうち4分の3は、嫡出推定の規定によって子が夫の戸籍に登録されるのを避けるために出生届を出さなかったケースという。

     戸籍がないと原則として住民票やパスポートを取得できず、行政サービスが十分に受けられない。

     大阪高裁は先月、嫡出否認の規定は男女平等に反し違憲だとして国に損害賠償を求めた60代の女性と娘らの訴えを棄却した。娘は約30年間も無戸籍で、孫も無戸籍になった。

     判決は嫡出推定を含む家族制度について「国会の立法裁量にゆだねられるべきだ」と指摘した。1審・神戸地裁は、請求は退けたものの「妻が否認権を持つことを検討する余地がある」と提言していた。

     法務省は昨年、各地の法務局などに対し、関係機関で連携して無戸籍者の解消に取り組むよう指示した。だがその後も無戸籍者の数に大きな変わりはない。やはり現行の法制度に限界があると考えるべきだ。

     民法の規定を改め、妻や子が嫡出否認の訴えを起こせるようにしても、大きな混乱は生じないだろう。別居の実態や血縁の有無などを裁判所が適切に審理すればよい。裁判を通じて元夫に妻の住所を知られる懸念も、実務上の配慮で解消できる。

     嫡出推定のルールは明治時代から変わっていない。戸籍のあり方にはさまざまな議論があるが、離婚や再婚が増えるなど家族のあり方は変化しており、実情に合わないのは明らかであろう。救済のための民法改正を本格的に検討すべきだ。

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