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建国70年・北朝鮮の「論理」 小倉紀蔵さんと考える

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京都大の小倉紀蔵教授=京都市左京区で、梅田麻衣子撮影
京都大の小倉紀蔵教授=京都市左京区で、梅田麻衣子撮影

 北朝鮮が9日、建国70周年を迎える。王朝、独裁、世襲……。さまざまに批判されながらも、しぶとく生き抜いてきた秘密はどこにあるのか? 政治・外交からのアプローチだけではよくつかめない。そこで東アジア哲学が専門の京都大教授、小倉紀蔵さんと「思想の国」としての彼らの論理を考えた。【鈴木琢磨】

米国は「普遍の存在」 「主体思想」の概念変え、繁栄へまい進か

 一冊の本がずっと気になっていた。昨年11月、司馬遼太郎さんと親しかった在日の歴史学者、姜在彦(カンジェオン)さんが91歳で亡くなった。私は大阪のご自宅に線香をあげに行ったのだが、書棚に付箋だらけの新書があった。450ページを超える圧倒的分量、あちこちに赤線も引いてある。小倉さんの新刊「朝鮮思想全史」(ちくま新書)だった。「姜在彦先生が……。感慨深いです。日本に朝鮮の思想を見わたす入門書がなかったので」。大学の研究室で、本に埋もれた教授は恐縮するが、隣人を知る基本テキストすらこの国は持ちえなかった事実に驚く。

 読むと、かの地で暮らす人がなぜ、あれほど激烈で、純粋で、楽天的か、思想の森を分け入っていく感じがしてくる。まず聞いてみたかったのは史上初の米朝首脳会談のこと。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長、不倶戴天(ふぐたいてん)の敵である米国のトランプ大統領と笑顔で握手した。父と息子ほど年の差があるのに堂々と。「彼らは倫理性と論理性はわれらの側にあるとの信念を持っています。しかも北朝鮮に色濃く残る儒…

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