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平松 洋子・評『うなぎばか』倉田タカシ・著

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好きすぎて翻弄される つかみどころのない大問題

◆『うなぎばか』倉田タカシ・著(早川書房/税別1400円)

 スルドいところを突かれ、書店で思わず、つつっと手が伸びた。面と向かって「うなぎばか」。ハイおっしゃる通りです。蒲(かば)焼きの匂いに弱くて、鰻丼、鰻重と聞くだけで相好を崩してしまう私。

 いっぽう、うなぎを巡る現況は混迷を深めている。土用の丑(うし)の日を間近に控えた頃、新聞を開いて「あっ」と声が出た。じつはうなぎがダブついているというのだ。稚魚のシラスウナギの不漁を見込んで価格が高騰、そのため消費が滞って、逆にうなぎが余っていると。だとしたら、世間は“うなぎビジネス”に踊らされている。とはいえ、稚魚の密輸や密漁が横行しているのも、もはや業界の常識だ。うなぎが絶滅危惧種であることは疑いようがない。

 このままいけば、いつか鰻重が食べられなくなる日が来るかも-考えるだけでぞっとするけれど、杞憂(きゆう)だと言い切る根拠もなくて……。

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