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余録

<夜は夜の甘さを加へ吊し柿…

 <夜は夜の甘さを加へ吊(つる)し柿 鷹羽狩行(たかはしゅぎょう)>。吊し柿は渋柿の皮をむき、つるして乾燥させた干し柿。干すことで渋みが抜けて甘くなる。渋みの元であるタンニンが水に溶けない性質のものに変わるためという▲ものの本によると、もともと渋柿の方が甘柿よりもはるかに糖度が高いのだそうだ。だから甘柿を干し柿にしても、渋柿で作ったもののように甘くないという。砂糖が貴重品だった時代、干し柿の甘さは庶民の暮らしで際立っていた▲だがいくら渋みが甘さに変わるとはいえ、干し柿とお金の利殖は意外な組み合わせだった。干し柿やヨーグルトなどの加工食品のオーナーとなれば半年ほど後に10%程度の利息をつけて買い戻すとうたった通信販売会社の破産である▲このケフィア事業振興会なる会社、昨年から契約者への支払いが滞り、各地で被害対策弁護団が結成された。先月末には消費者庁が企業名を公表して注意を喚起し、被害対策弁護団が刑事告訴の検討を表明したところでの破産だった▲債権者は3万人、負債総額は1000億円を超えるという。出資者は高齢者が多く、支払い遅れは「システム障害のせいだ」と説明されていた。出資金を別の出資者への支払いに回す自転車操業になっていたとの証言も聞こえてくる▲ことの真相はおいおい明らかになろうが、郷愁をそそる干し柿もとんだマネーゲームのカードにされたものである。これも高齢者からの出資をあてこんでのことか。<吊し柿嘘(うそ)偽りも甘くなる 津田清子(つだ・きよこ)>

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