官公庁を中心に、障害者の法定雇用率が水増しされてきたことが社会問題化している。先週、厚生労働省が公表した調査結果では約8割の中央省庁で「水増し」などが確認された。障害者支援の名の下で、偽りの数字がはびこった原因はどこにあるのか。この問題が投げかけた課題を探った。
明るみに出た役所の一連の「ごまかし」はとんでもない話ではあるが、背景には実態と乖離(かいり)してしまっている障害者雇用制度の「ひずみ」があるのも事実だ。問題の発覚を機に、実態に即した議論を進めてゆくべきだろう。
障害者の雇用義務は1976年に始まった。当初は身体障害のみで法定雇用率も1・5%と低く、バリアフリーを進める中でこの割当制度を守ってゆくという狙いは理にかなっていたと思う。97年に知的障害が加わったことでハードルが高まったため、2002年には特例措置として障害者を集中雇用した「特例子会社」を認めた。民間、特に大手企業はこれらを設立して雇用率増に対応してきたが、常に組織のスリム化、効率化が求められ…
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