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クローズアップ2018

北海道震度7(その2止) 軽石層、一気に崩壊

北海道厚真町吉野周辺の土砂崩れの前と後
北海道厚真町

厚真町土砂崩れ 今夏の大雨、影響か

 北海道厚真町の土砂崩れで崩落した地層について、専門家らは火山噴火による軽石層だと指摘している。地震の揺れに弱い性質があり、大雨も影響した可能性がある。

     産業技術総合研究所の石塚吉浩・火山活動研究グループ長によると、厚真町の西約40キロでは、約4万年前にカルデラの支笏(しこつ)湖を作った巨大噴火が起き、厚真町に大量の軽石が飛来して厚さ約4メートルに堆積(たいせき)。さらにその上に、支笏湖の北にある恵庭(えにわ)岳(1320メートル)と、南にある樽前(たるまえ)山(1041メートル)の噴火による軽石も厚さ約50センチずつ積もっている。

     こうした層は今年夏の大雨で多量の水を含んだままになっていたと考えられ、震度7の揺れをきっかけに一気に崩れたとみられるという。石塚グループ長は「崩れた場所には大きな石が見られない。地下の岩盤までは崩れず、表面の軽石層だけが崩落したと推定できる」と話した。

     石塚グループ長によると、支笏カルデラから放出された軽石は肌色、恵庭岳はだいだい色、樽前山は白っぽい。このほか、黒っぽい表層土壌もあり、それぞれの色が現場の写真から見て取れるという。

     軽石層は「テフラ層」と呼ばれ、京都大防災研究所の千木良(ちぎら)雅弘教授(応用地質学)は、2016年4月の熊本地震で起きた阿蘇山周辺の土砂崩れとの類似性を指摘する。この地域でも、阿蘇山から噴出したテフラ層が広がっている。

     千木良教授によると、風化すると層の内部はスポンジのような小さな空洞が多くなり、震動に弱くなる。

     熊本地震では、阿蘇山周辺で400カ所以上の土砂崩れがあった。千木良教授は「厚真町の写真を見る限り、テフラ層の崩壊に間違いない。熊本地震より被害の範囲が広い可能性がある。テフラ層は全国の火山周辺に広く分布しており、震度5強以上の地震が起きると崩れることが多い」と警戒を呼びかける。

     テフラ層の崩壊は、1968年の十勝沖地震で、青森県にある十和田カルデラ噴火の火山灰層が崩れ、48人が死亡した例などもある。【池田知広、渡辺諒】

    今回の地震の震源と周辺の活断層の位置関係

    今回のメカニズム 主要活断層帯を刺激する恐れも

     政府の地震調査委員会は6日、臨時会合を開き、北海道厚真町で震度7を観測した地震は、震源の西約10キロにある主要活断層帯「石狩低地東縁断層帯」で発生したものではないとの見解をまとめた。別の断層が最長で南北約30キロにわたってずれ動いたとみられるという。今回の地震が同断層帯の地震を引き起こす可能性も否定できないとして、警戒を呼びかけている。

    今回の地震のメカニズム

     調査委によると、同断層帯は深くても地下20キロ程度までしか延びていない。今回の震源は深さ約37キロとそれよりかなり深く、調査委は今回の地震が同断層帯と離れていると判断した。ただ、周辺では今回の影響で地震が起きやすくなったとみられる場所もあるという。

     今回の地震は、片方の岩盤がもう片方に乗り上げる「逆断層型」。震源付近の北海道の中央南部では、東西から押し合う力がかかっていて、逆断層型の断層が生まれやすくなっている。

     委員長の平田直(なおし)・東京大教授は会合後の記者会見で「(知られている)活断層だけに注意するのではなく、どこで地震が起きてもおかしくないと考えてほしい」と話した。

     同断層帯は「主部」と「南部」に分けられる。主部の長さは約66キロで、想定される最大マグニチュード(M)は7・9。南部は長さ54キロ以上あり、最大Mは7・7以上。政府の地震調査研究推進本部は、今後30年の発生確率を主部で「ほぼ0%」、南部で「0・2%以下」と想定している。

     名古屋大の鈴木康弘教授(変動地形学)は「今回動いた所は石狩低地東縁断層帯に付随してできた別の断層ではないか。地下では想定以上に複雑なことが起こっていると考えられ、断層帯と『関係がない』とまでは言えない」と話した。

     地震波形を分析した東京大の古村(ふるむら)孝志教授(地震学)によると、大きな揺れが3~4秒間隔で約3回、記録されていた。大きな断層のずれが複数回起こることで、比較的長く、強い揺れが続いたとみられるという。

     一方、北海道では千島海溝のプレート境界で発生するM9級の巨大地震も懸念されているが、今回は内陸の地殻内で起きたため、気象庁は「直接の関係はない」とみている。

     また、防災科学技術研究所は厚真町の西隣にある安平(あびら)町の観測点で、1505ガルの加速度を記録。2016年の熊本地震で益城町で記録した1362ガルを上回った。【池田知広】


    最大震度7を観測した国内の地震

     発生日時       地震         マグニチュード

    1995年 1月17日 阪神大震災      7.3

    2004年10月23日 新潟県中越地震    6.8

      11年 3月11日 東日本大震災     9.0

      16年 4月14日 熊本地震       6.5

      16年 4月16日 熊本地震       7.3

      18年 9月 6日 北海道胆振地方の地震 6.7

     ※気象庁のデータベースを基に作成

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