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北海道震度7

未曽有の揺れ直撃 生活基盤、根こそぎ(その1) 「柱にしがみつくしか」

 北海道を未曽有の大地震が襲った。全道が停電し、胆振地方を中心に道路や水道などライフラインが断絶して都市機能がまひした。厚真町では大規模な土砂崩れが発生し、多数の住民と連絡が取れなくなっている。震度7という経験のない揺れに見舞われた道内は全域で混乱に陥った。

     震源に近い厚真町では、山の斜面が広範囲に崩れて山肌がむき出しになっていた。各所で住宅などの建物が崩れた土砂や樹木に押しつぶされるように倒壊し、道路や田畑はがれきまじりの土砂で覆われた。倒壊した住宅には自衛隊員、消防隊員らが駆けつけ、重機を使って室内に閉じ込められたとみられる人の救出活動にあたった。

     吉野地区の南側の桜丘地区に住む無職の男性(68)は、自宅で就寝中、揺れを感じて跳び起きた。今まで経験したことのないような横揺れで、収まるまで妻と柱にしがみついているのが精いっぱいだった。停電で周りも真っ暗だったため、自家用車に避難。明るくなってから町内の避難所に移動したが、近くでは裏山が崩れて住宅が倒壊しているのを目の当たりにしたという。男性は「裏山が危険とは考えていなかった。こんなことは信じられない」と声を震わせた。

     同町によると、富里、高丘、吉野の各地区が壊滅的被害を受けているといい、住民の救助活動を最優先して実施している。富里地区には30世帯74人、高丘地区は15世帯43人、吉野地区16世帯34人が居住しており、道警ヘリで吉野地区の住人を救助した。町内11カ所に避難所を開設し、同町京町の町総合福祉センターには、午前10時半現在で約120人が避難している。宮坂尚市朗町長は「今まで経験のない鬼気迫るような揺れだった。関係機関の協力を得て、一刻も早く住民の救出にあたりたい」と話した。

     厚真町の西隣の安平(あびら)町も、震度6強の揺れに見舞われた。

     同町追分柏が丘のアルバイト、田中海斗さん(27)は自宅2階で就寝中、激しい縦揺れに襲われた。本棚やテレビを手で押さえたが、1、2分程度続く揺れに耐えられず1階に下りた。屋外に出てみると、自宅の外壁がはがれ、地割れも数カ所見つけた。共に暮らす母親にもけがはなかったが、停電や断水が続いているといい「自宅にいるのも不安なので、次に大きな余震が来たらすぐに近くの小学校に避難しようと思う」と話した。

     町によると、町内では40代の女性が階段から落ちてけがをしたほか、60代の女性2人が顔にけがをして、病院に搬送された。厚真町まで結ぶ道路は土砂崩れで寸断。小・中・高校が臨時休校になり、子ども園では、停電や断水などで支障をきたしている家庭にいる幼児の受け入れ準備を進めている。

     及川秀一郎町長は「これまで、震度5弱は経験したことがあるが、6強は初めて。対応は長期戦になる。コンビニエンスストアなどから避難物資の提供を受け、組織的に対応したい」と語った。【澤俊太郎、福島英博、服部陽】

    救助の自衛隊2.5万人 防災担当審議官を派遣

     政府は6日午前、北海道で発生した最大震度7の地震を受け、首相官邸で関係閣僚会議を開いた。安倍晋三首相は「事態は一刻を争う。被害を迅速に把握し、市町村と緊密に連携して救命救助に全力で当たってほしい」と指示。自衛隊が地震直後に4000人態勢で救助活動をすでに開始しており、今後2万5000人まで増やす方針を示した。

     会議には菅義偉官房長官や小此木八郎防災担当相らが出席。小此木氏は記者団に、内閣府が防災担当の審議官ら職員を北海道に派遣したと説明し、状況把握を進める考えを示した。

     防衛省は北海道から陸上自衛隊第7師団への災害派遣要請を受けて自衛隊員を厚真町近辺に派遣し、救助活動を開始した。約20機のヘリコプターや航空機も投入。数人の要救助者を確認し、午前9時までに厚真町の土砂崩れ現場から5人を救助した。

     政府は地震発生直後の午前3時9分、首相官邸と防衛省にそれぞれ対策室を設置。首相は午前3時10分に、早急な被害状況の把握▽政府一体となった被災者の救命・救助▽被害の拡大防止措置の徹底--を指示した。【青木純、野間口陽】

    震源37キロ「石狩断層と関連不明」

     気象庁によると、6日未明に北海道で発生した震度7の地震は、陸のプレートの地殻内で断層面がずれ動いて起きたとみられる。震源から西に約10キロ離れた場所には主要活断層帯の「石狩低地東縁断層帯」が南北に走っているが、震源は深さ約37キロと活断層の地震にしては異例の深さで、気象庁は「断層帯との関連は不明」としている。

     同断層帯は、最大マグニチュード(M)7・9の地震が想定される「主部」(長さ約66キロ)と、最大M7・7以上の「南部」(同54キロ以上)からなる。政府の地震調査研究推進本部は、今後30年の発生確率を主部で「ほぼ0%」、南部で「0・2%以下」と想定している。

     政府の地震調査委員会の平田直(なおし)委員長(東京大教授)は取材に、同断層帯との関連は薄いとの見解を示した。この地域では東西方向から地殻を押す力が加わっていて地震が起きやすく、平田委員長は「特に今後2、3日は同規模の地震に厳重な警戒が必要」と呼びかけた。

     一方、東京大の古村(ふるむら)孝志教授(地震学)によると、同断層帯は地下で東に傾いて深くなっており、今回その断層面で発生した可能性を否定できないという。古村教授は「活断層か、活断層と平行に走る隠れた断層で起こったのではないか」と指摘する。【池田知広】

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