倒壊した自宅から見つかった滝本舞樺さんの遺体を確認し、涙ぐむ兄の天舞さん(中央)ら=北海道厚真町で、2018年9月6日午後7時45分、和田大典撮影

 大量の土砂で押しつぶされた住宅の前で、家族は名前を呼び続けた。震度7の揺れで大規模な土砂崩れが起き、死者や安否不明者が多数出た北海道厚真町。山あいの集落では自衛隊員や警察の救出活動が続いた。「早く助けてあげたい」。兄は妹の無事を願った。

 自宅が土砂崩れに巻き込まれた高校3年の滝本天舞さん(17)は、寝ていた2階部分が崩れ、外に投げ出された。住宅には妹(16)ら3人が取り残された。「難しいかもしれないが、もう一度会いたい」。自身も痛めた右足首を引きずり、救助を見守った。

 日中の捜索で、妹の体が少し見えたため、重機ではなく手作業による救出が続いた。ベッドなどに挟まれていたとみられる。

 家族が名前を何度も呼び掛けたが、返事はない。夜になり、ようやく障害物を取り除き、家から出した。運び出された妹を見送り、「頑張った。よく耐えたね」と唇を強くかみしめた。

 同町朝日地区の倒壊した家屋からは住人の80代夫婦が心肺停止で見つかった。夫婦の三男の公務員、畑島久雄さん(54)=江別市=が現場を訪れ、「突然で言葉がないです」と目を真っ赤にして話した。

 佐藤泰夫さん(63)は両隣の家が土砂に襲われ、数人の安否が分からないという。「地震で跳び起きて窓を開けると、ゆっくり走る車のような速度で木が目の前を通り過ぎた」と振り返った。

 町内の80代女性は「初めはどすんと衝撃が来た。その後も何度も揺れてひどい状況」とおびえた様子。女性の自宅ではタンスなどが倒れたほか、壁に亀裂が入った。

 町内にハスカップ農園を所有する土居元さん(41)は「土砂で被害を受け、元通りにできるか全くめどが立たない」と肩を落とした。(共同)