メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

京都観察いま・むかし

八木先生の覚え書き/51 龍安寺石庭の謎 中世賤民の芸術を想像 /京都

 大学生の頃の筆者は、ヒマがあれば龍安寺(京都市右京区・臨済宗妙心寺派)の石庭の前で坐(すわ)ることにしていました。それも京都独特の底冷えがする厳寒期、足指を凍えさせての鑑賞が好きでした。世界文化遺産(1994年)に登録されてからは観光客が激増、もはやゆっくり坐ることもままなりませんが。

 文学青年だった当時も、そして今も、筆者は作家・中国文学者の故・高橋和巳のファンで、その高橋が雑誌『近代文学』(1961年3~4月)に書いた「逸脱の論理」(後に河出文庫に収載)の文章に影響されました。いわく、「竜安寺の低い塀は、石庭と外景とを区切っているけれども、それは背景の樹々を遮断するほど高くはない。内部は造園の構図と美学に従う恒常性が保たれ、外部は、四季の変遷や、大きくは時代の推移にそのまま委ねられる。そして、その恒常と推移の全体的照応像が、その庭園の美なのである」(河出文庫版、134ページ)。

 恒常と推移の全体的照応という高橋の言葉を、筆者は、無変化と変化との弁証法的統一として読み込み、それを石庭の内外に見出そうとしたのです。「虎の子渡し」や「七五三の庭」と呼ばれたり、禅の凛(りん)然たる精神の結晶とも評価されたりする石庭ですが、見方によっては、単に大小15個の石が雑然と配置されているだけともいえる空間です。いわば秩序と無秩序の混在であって、ここでも筆者はその両者の弁証法的統一を考えて…

この記事は有料記事です。

残り1639文字(全文2236文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「俺コロナだけど」 ドラッグストア店の業務妨害容疑で54歳男逮捕 埼玉

  2. 「海女の支援に」 アワビ稚貝と真珠のピンバッジが人気

  3. 感染者全国5番目、死者は東京に次ぐ2番目 なのになぜ愛知は「宣言」対象外?

  4. コープこうべ、開店後30分間を高齢者ら専用に 「知らなかった」引き返す一般客も

  5. スタバ、9日から850店舗で休業 緊急事態宣言対象の7都府県

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです