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余録

災害は政治の都合を待ってはくれない…

 災害は政治の都合を待ってはくれない。1923年9月に起きた関東大震災は加藤友三郎(かとう・ともさぶろう)首相ががんで亡くなり、後継政権の組閣が難航中という政変のさなかの出来事だった。まさに政治空白を襲った惨害である▲後継に推されていた山本権兵衛(やまもと・ごんべえ)は翌日になっても組閣ができず焦慮していると、内相となる後藤新平(ごとう・しんぺい)が来る。「内閣は一日もむなしうすべからず。二、三の人とでよい。一緒に骨となって働こう」と話し合い、首相官邸へと乗り込んだ▲赤坂離宮の芝生で異例の親任式が行われたのはその夕方のことという。さすがに政争はたな上げされて、挙国一致の「震災内閣」といわれたが、政界通に「時局平定後は随分むづかしき内閣ならんか」と評された寄せ集め政権だった▲こちらは北海道を襲った震度7の震災のさなかに始まった自民党総裁選である。6年ぶりの選挙戦は安倍晋三(あべ・しんぞう)首相と石破茂(いしば・しげる)元幹事長との一騎打ちとなったが、当面3日間は災害への対応のために選挙活動を自粛することが決められた▲震災対応を最優先すべきは当然だが、ならば石破氏が主張したように選挙を延期する手もあった。災害に対処する姿をアピールする首相と、活動の自粛を強いられるだけの石破氏では「政治休戦」の政治効果もおのずと違ってこよう▲さすがに石破氏が重視する討論会は当初の予定通り3回行われる。被災地への救援の「挙国一致」と、防災の将来もかかる国政のあるべき姿をめぐる「激論」と。二つを混同してはならない災害休戦だ。

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