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余録

詩人、童話作家の宮沢賢治が岩手県で生まれたのは…

 詩人、童話作家の宮沢賢治が岩手県で生まれたのは1896年8月。東北沿岸で2万人を超える死者・行方不明者を出した明治三陸大津波はその2カ月前に発生した。生まれた直後には、岩手・秋田に甚大な被害をもたらした陸羽(りくう)地震が起きている▲賢治は大災害の時代に生きた。それに加え、冷害に苦しむ農村の現実を目にして「雨ニモマケズ」を作る。この詩は、東日本大震災の被災地に駆け付けたたくさんのボランティアが胸に刻んだという。被災者のために少しでも力になりたい。その思いが詩と重なる▲同じ気持ちで、地震の被害に遭った北海道へと向かうボランティアが増えていくだろう。北海道もこれまで冷害などの自然災害に苦しみ続けた土地である▲賢治は、教師をしていた花巻農学校の修学旅行で北海道を訪れ、各地に足跡を残している。今回被災した旧穂別(ほべつ)村も、かつて村長が賢治にならい、イーハトーブ(理想郷)のまちづくりを目指した縁がある。賢治がいたら、胸を締め付けられたことだろう▲平成が終わろうとする時に起きた北海道の地震。思い出すのは、平成の初期にあった阪神大震災だ。「ボランティア元年」といわれた。作家の柳田邦男さんは著書で「人々と社会に『新しい価値観』の共有を呼びかける」動きと書いた。賢治が後世に託したものなのかもしれない▲きょうも懸命の救出活動と復旧作業が続く。人への思いが人を現場へと突き動かす。「病気ノコドモ」や「ツカレタ母」が支援を待っている。

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