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社説

スルガ銀の不正融資 地域金融機関の資格欠く

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 地元の経済発展を資金面から支える。そんな地域金融機関の姿とはかけ離れた実態が明らかになった。静岡県の地方銀行、スルガ銀行で組織的に行われていた不正融資が、第三者委員会の調査で裏付けられた。

     発端は女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営し破綻した不動産会社への融資だった。だが、借り手の自己資金や収入の水増しなど、偽装は中古マンションへの投資資金も含め、広範に行われていた。

     銀行は本来、借り手の信用度を面談などにより審査する。ところがスルガ銀では、不動産を販売する業者と融資の詳細を詰めていた。どうすれば審査を通るかなど、銀行側が業者に指南し、一体となって不正を行うこともあったようだ。

     営業部門が絶大な実権を握っていたためだが、経営の上層部はあえて現場任せにし、行内のチェック機能が働かない体制を放置していた。

     責任は重く、創業家出身の会長らが退くのは当然である。

     同行は社長以下、経営陣を刷新し、新しい企業風土・文化を築いていくという。

     しかし、指揮をとる新社長は、第三者委員会の報告書で、審査の無力化を知りながら是正しようとしなかった点を問題視された一人だ。「一定の経営責任は免れない」との指摘を受けている。

     経営から退いたとはいえ、15%超の同行株式を保有する創業家との関係を断ち切ることができるのか。生え抜きの社長が、古い体質を消し去ることは容易ではないだろう。

     厳しい営業のノルマを現場に課し、借り手のことなど顧みない姿勢は金融機関として失格だ。金融庁には厳しい処分が求められる。

     しかし同時に、無理をしないと収益を上げにくい地域金融機関の経営環境も無視できない。

     地元で収益機会が細り、日銀の政策のあおりで国債の運用でも稼ぎにくくなった。大都市の不動産に投資する個人向けの融資に活路を求めたのはスルガ銀だけではない。

     地方経済再生のために貸し出しを増やせ、と発破をかけるばかりでは、不良債権を増やし、結果的に地元経済に迷惑となる恐れもある。

     地域経済と金融のあり方が問われているのも忘れてはならない。

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