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社説

障害者の不妊手術調査 記録なしでも救済対象に

 旧優生保護法による障害者らへの不妊手術の全国調査で、名前が判明したのは3033人にとどまった。手術を受けた計約2万5000人の12%に過ぎない。

     厚生労働省が全国の自治体に手術に関する記録を探すよう求めた調査の結果である。国家による強制手術という著しい人権侵害に関して、記録すら残さない。行政機関の人権感覚、文書管理のずさんさは改めて批判されるべきだろう。

     与党ワーキングチーム(WT)や超党派議連は年内にも救済策をまとめる方針だが、記録のない人も含めた救済の枠組みが求められる。

     手術痕があり、本人の証言がある場合には救済の対象にすることを与党WTも検討はしている。ただ、具体的な線引きや個々の事情の解釈次第で救済範囲はいかようにも狭くなり得る。

     数十年前の手術痕を確認するのは容易ではない。理解力やコミュニケーションにハンディのある知的障害者の場合、どこまで明確に証言できるだろうか。

     不妊手術の記録に名前が記載されている人でさえ、自ら救済の申告をしない人が多い。情報が十分に届いていない、不妊手術をされた記憶が乏しい、周囲に知られたくない……。さまざまな理由で障害者は口を閉ざしている。

     不妊手術をした人のうち8518人は強制ではなく、本人が同意しての手術とされている。ただ、本人が正確な事情を理解しないまま形式的に同意したことになっている人も相当数いるはずだ。同意のケースで個人名が判明した人はいなかったが、救済の対象にすべきだろう。

     そのほか、今回の調査の対象ではないが、子宮摘出や審査会を通さずに不妊手術をされた人もいる。

     1950年代には国会で障害者らへの不妊手術を求める質問が繰り返され、厚生省(当時)は自治体に手術を徹底するよう何度も通知を出した。「身体の拘束、麻酔薬施用、欺罔(ぎもう)等の手段を用いることも許される場合がある」などと書かれた通知もある。

     9歳の少女すら手術をされているのだ。記録がなくても多くの障害者が不妊手術をされたことを前提に救済策を講じるべきである。

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