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渡辺保・評 『風の演劇 評伝別役実』=内田洋一・著

 (白水社・4536円)

「風」の視点こそ核心の象徴

 さびしげな電灯のついた一本の電信柱、一つのベンチ。そこに無名の市民--男1や女1があらわれて、ごく日常的な風景が広がる。そのうち、そのリアルな風景にどこか無気味なものが現れてくる。別役実独特の世界である。

 本書はこの独特な展開で、日本に不条理演劇の分野を開いた劇作家別役実の評伝である。評伝というよりも、別役作品がどうして書かれ、どういう意味をもっているのかを描いた批評でもある。

 著者内田洋一は、演劇ジャーナリストとして多くの関係者に取材し、同時に別役実本人の話も聞き取ってこの本を作った。そこに普通の伝記とも作家論とも違う独自の感触があって面白い。その結果ここには一人の劇作家の姿が浮かび上がると同時に、彼が生きた戦後の演劇史、日本社会の激動が浮かび上がった。そこが読んでいて興味深い。

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