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中村桂子・評 『マンモスを再生せよ ハーバード大学遺伝子研究チームの挑戦』=ベン・メズリック著、上野元美・訳

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 (文藝春秋・2160円)

私たちは今、何を望むのか

 ヒトゲノム解析計画の発案者の一人ハーバード大学のジョージ・チャーチ教授が受話器を置き、考え込むところから物語は動き出す。電話は「ニューヨーク・タイムズ」紙の有名科学記者、ニコラス・ウェイドからで、ケナガマンモスの体毛のDNA配列解読を知って、「ゲノム工学を使えば、ケナガマンモスをよみがえらせることは可能でしょうか?」と問うてきたのである。二〇〇八年のことである。

 チャーチは思考実験する。マンモスゲノムを解析し、重要な遺伝子部分を合成してゾウの胚に移植すれば、マンモスは誕生する。二〇〇九年、彼は環境活動家S・ブランドとR・フィーラン夫妻を訪れる。野生動物の減少を嘆く彼らとはメールの交換をしてきたが、直接絶滅種復活の要望を聞き、やるならマンモスだと思った。しかし「なぜそれをする必要があるのか(、、、、、、、、、、、、、、)?」。

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