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北海道地震

電車減便 ネオン消し、電力不足に備え

電光時計の時刻表示を再開した「さっぽろテレビ塔」。節電のため日没後のライトアップは当面休止する=札幌市中央区で2018年9月9日午後9時24分、貝塚太一撮影

 震度7の地震で被災した北海道最大の苫東厚真火力発電所の復旧の見通しが立たず、道内の電力供給は綱渡りの状況が続いている。経済産業省は計画停電を防ぐには道内で「2割の節電」が必要と想定。停電から多くの地域が復旧してから初の平日となる10日は、電車の運行本数が削減され、店頭のネオンも消えるなど、東日本大震災直後を思わせるさまざまな取り組みが始まった。【三沢邦彦、野原寛史、日下部元美】

     同省によると、9月の平日に電力需要が増えるのは午前8時半から午後8時半にかけて。北海道電力(北電)によると、10日午前10時の電力需要は地震前に比べ10・8%下がったが、同日午前時点の電力供給力は353万キロワットと、地震発生前日(5日)のピーク時の電力需要(383万キロワット)より約8%不足している。10日午前11時現在、403戸で停電が解消されておらず、世耕弘成経産相は、北電に被災した苫東厚真火力の具体的な復旧時期の見通しを示すよう指示している。

     こうした状況を受けて、札幌市交通局は10日から、市営地下鉄を日中は30本減便し、JR北海道も札幌-旭川間で10本、札幌-室蘭間で6本の特急を運休する。一部の銀行は窓口以外の照明や空調の使用も抑え、札幌市中心部のデパートもエレベーターの一部運転を停止した。札幌駅前の家電量販店は看板のネオンを消し、さっぽろテレビ塔もライトアップを当面休止。国道などの約4万の照明も半分が消灯された。

     対応に追われる北電の真弓明彦社長は10日午前、札幌市で道内の経済団体などに対し、「全295万戸停電で大変不便をかけ、深くおわびする」と謝罪した。約1割の電力供給が不足しているとして、ピーク時間帯の2割以上の節電協力も要請した。

     北電は札幌市の中心街で市民に節電を呼びかけるキャンペーンを始めており、炊飯器や洗濯機の使用時間をずらし、使わない機器のプラグはコンセントから抜くなどの手法を解説する冊子を配布した。冊子を受け取った同市白石区の女性(69)は「既に冷蔵庫を省エネモードに切り替えた。冊子を読んで、さらに協力できないか考えたい」と話していた。

    厚真、安平町 家財散乱、何から手を付ければ…

    食器や家電、キッチン用品が散乱した山田真知子さん宅の台所。冷蔵庫や棚の中にあった物も飛び出したという=北海道厚真町で2018年9月9日午後4時17分、土江洋範撮影

     最大震度7の地震を記録した北海道厚真町などでは、被災した住民が自宅の片付けを進めている。避難所から自宅に戻ったり仕事に出かけたりする人も多く、散乱した家財道具の山を前に疲労の色をにじませている。

     30分作業しては10分ソファで休憩を繰り返す。全壊家屋が19棟に上った厚真町。山田真知子さん(68)は1人で居間に散らばった衣類を使えるものと捨てるものに分けていた。台所では棚から落ちた食器が割れ、洗面所では液体洗剤が床にこぼれている。「いつになったら終わるのか」。山田さんはため息をついた。

     夫(71)と2人暮らし。ともにけがはなかったが、築約40年の自宅は、外壁にいくつも亀裂が走り、居間の窓ガラスは割れる。玄関先のブロック塀が崩れ、タンスや食器棚もほとんど倒れた。便器が持ち上がり、床から外れたため、夫婦で避難所に身を寄せている。

     日中に自宅に戻るが、夫は脳梗塞(こうそく)で目や足が不自由なため片付けができない。離れて暮らす長男や親戚の手を借りられない日は、1人での作業を余儀なくされる。山田さんは「早く穏やかな日常が戻ってほしい」と語る。

     隣の安平町でも11棟の住宅が全半壊した。町内で電器店を営む岩井良夫さん(70)は無事だったものの、店を兼ねる築40年の自宅は、コンクリートの基礎にひびが入り、脱衣所とトイレの天井が崩れた。食器棚のガラス扉は砕け散った。「頭が真っ白になって、何から手をつけていいか分からなかった」

     地震があった6日から妻と片付けを始めたものの、乾電池や家電を買い求める住民が来店。壊れたテレビアンテナの修理工事の依頼もある。妻も仕事を抱えており、片付け作業は進まない。

     「人手はほしいけど、何を残して何を捨てるか、私たちにしか決められない。結局は自力でやるしかない」。読書家という岩井さんは、棚から落ちた大量の本を見つめて、そうつぶやいた。【土江洋範】

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