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北海道地震

生産復旧、電力不安が壁

政府の節電要請で、一部のテレビの電源を落として営業する家電量販店=札幌市中央区のビックカメラ札幌店で2018年9月10日午後4時33分、貝塚太一撮影

 北海道南西部の胆振(いぶり)地方を震源とする地震とその後の大規模停電で操業を停止していた道内の工場や店舗が10日、相次いで生産・営業を再開した。各社は震災前の体制への復旧を急ぐが、電力の供給不安が続く中、2割の節電要請にも応えねばならず、難しい対応を迫られている。【小倉祥徳、柳沢亮、藤渕志保】

    トヨタ系工場は再開

     トヨタ自動車は10日、北海道の地震の影響で停止していた全国の完成車工場の稼働を11日から順次再開することを決めた。変速機などを生産する子会社のトヨタ自動車北海道(苫小牧市)の工場が10日に操業を再開し、部品調達のめどがついたためだ。13日には、グループの全完成車工場を通常稼働に戻す方針だ。

     11日は、トヨタの元町工場(愛知県豊田市)などグループ6工場で操業を全面再開する。このほか5工場でも一部の生産ラインを稼働させる。政府の節電要請に「適切に対応していく」(広報)としており、部品の生産のタイミングを工夫したり、従業員の休憩時間をずらしたりして、ピーク時の電力使用を抑える方針だ。

     いすゞ自動車のエンジン部品製造子会社「いすゞエンジン製造北海道」(苫小牧市)も8日に通電が回復し、設備点検後に操業を再開した。優先度が低い部品の製造ラインの一時停止などによる節電策を検討する。

     スマートフォンなどを生産する京セラ北海道北見工場(北見市)は7日夕に電力が復旧。休日の8、9日に臨時操業し、生産の遅れを補った。パナソニックは、自動車向け部品を生産する帯広市の工場の操業を8日に再開。スマホ部品を作る千歳市の工場は設備の点検中で、操業再開にはなお数日から1週間かかるという。自家発電設備をフル稼働するなどして節電と生産回復の両立を図る。

     カルビーは操業を停止していたポテトチップスなどを製造する北海道内の三つの生産拠点のうち2工場で10日、稼働を再開した。残る1工場も11日に再開する。

     スーパー、コンビニエンスストアは一部を除き、道内のほぼ全店舗で営業を行っている。弁当などの生産工場も操業を再開し、おにぎりや飲料品など商品の供給が戻りつつある。

     道内大手スーパー「マックスバリュ北海道」は9日までに物流がほぼ回復。だが保存期間の比較的短いパンや牛乳、豆腐などは購入が入荷量を上回っている。スーパー、コンビニ各社は今後の節電に備え、店舗や事務所などの照明を間引くなどの取り組みを探る。

     サッポロビールは10日、瓶やたる製品に比べ電力消費が少ない缶商品の製造、出荷を再開した。キリンビールも12日に出荷を開始する予定だ。

     物流も復旧し始めている。ヤマト運輸は8日、日本郵便は9日、それぞれ震源地に近い一部地域を除き集配を再開した。

    大手、自家発電フル稼働 他企業や家庭に電力融通

     地震の影響で電力供給の綱渡り状況が続く北海道。鉄鋼大手や製紙大手などが保有する自家発電設備をフル稼働させて、道内の他の企業や家庭への電力供給を下支えしている。火力発電所の再開のメドが立たない中、政府や北海道電力は道内企業や家庭に2割程度の節電を要請している。

     北電は電力不足を補うため、自家発電設備を持つ大手企業に協力要請。企業側もこれに応えている。新日鉄住金の室蘭製鉄所(室蘭市)は、IPP(電力卸供給事業者)として製鉄所内に保有する発電設備(供給力最大10万キロワット)を7日から稼働し、北電への電力供給を開始。さらに、自家発電設備を使って10日には製鉄所内の全ての設備の操業を再開した。

     日本製紙も点検作業中に被災した釧路工場(釧路市)内のIPP設備を7日に立ち上げて、北電向けに8万キロワットを供給している。旭川、勇払、白老の各事業所も自家発電設備を再起動し北電向けに供給している。王子ホールディングスも自家発電設備を持つ苫小牧、釧路、江別の3事業所から電力供給する。JXTGエネルギーは室蘭製造所(室蘭市)内のIPP設備を7日から稼働。当初は1・4万キロワットを発電していたが、需要増が見込まれる10日昼以降は4万キロワットまで供給力を高めた。

     経済産業省によると、10日時点の道内の電力供給力は約346万キロワット。このうち企業の自家発電設備が50万キロワットと約14%を占めており、電力供給の貴重な下支え役となっている。【横山三加子】


     ◆北海道の企業の復旧状況

    流通・小売り

     コンビニでおにぎりなどの製造工場が稼働。ほぼ全店舗で営業を再開。一部で営業時間を短縮。

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    食品

     明治、雪印は牛乳やチーズなどの生産を再開。森永は生産再開に向け準備中。

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    電機

     京セラは8、9日の休日稼働でスマホ生産の遅れを補う。パナソニックは設備点検などのため、千歳市の工場の操業再開に数日から1週間かかる見通し。

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    自動車

     いすゞ自動車子会社はエンジン部品の製造を再開。トヨタの自動車工場は部品調達のメドがつき、11日に再開予定。

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    運輸

     ヤマト運輸や日本郵便が集配を再開。

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